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福岡空港の「民営化」

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福岡空港民営化案、強気の皮算用に高い壁 路線誘致や投資は未知数 発着増に住民の理解不可欠

2018年07月19日 03時00分 更新


  • 福岡空港国際線旅客ビルの免税店のイメージ(福岡エアポートホールディングス提供)


 福岡空港の運営事業者となる地場連合の提案内容の概要が18日、明らかになった。30年後の旅客数として掲げたのは、現在の約1・5倍の3500万人。まず東南アジアを中心とした路線誘致で旅客数を増やす計画だ。集客機能の強化も取り組む。ただ、発着回数増や路線誘致は未知数で、施設整備には投資も必要。目標実現には多くの壁を乗り越える必要がありそうだ。 

 2017年度の福岡空港の旅客数は約2400万人。現在、国内28路線、国際20路線(10カ国・地域)が就航している。提案に織り込んだ3500万人は、関西空港の約2800万人(17年度)を大きく上回り、約3900万人(同)の成田空港に迫る規模になる。

 提案では、5年後の23年度には東アジアや東南アジアなどの国際8路線を増やす。30年後には国際線を計67路線(25カ国・地域)とする将来像を描く。

 地場連合の代表企業、福岡エアポートホールディングス(HD)は旅客数について「需要予測に目標値を加えた数字。発着容量の拡大も前提となる」と説明する。ただ、着陸経路の変更には騒音問題などに周辺住民の理解が不可欠で、発着容量を計画通り増やせるか、丁寧な対応が鍵になる。

 発着回数を増やせたとしても、路線の誘致は大きな課題。提案では、エアライン誘致の専任部署を設立するほか、シンガポールで空港運営の実績があるチャンギ・エアポート・グループのネットワークやノウハウを生かす。長期運航や新規路線、増便などを促す割引料金も導入する予定。福岡エアポートHDは「旅客数が伸び悩んだときのリスクも想定している」とする。

 連絡バスの専用道路を設け、国内線と国際線を5分以内で結ぶ計画も盛り込んだ。国内線側には年間800万人以上の利用を見込む複合商業施設を整備し、集客力を強化。広島や山口宇部などへの高速バスも設け、より広域からの集客を目指すとしている。

 これらの集客機能強化には、投資も必要となる。同社は投資額を明らかにしていないが「テナント誘致、免税店拡大など、運営権対価を払って事業を継続できる対策はしている」とした。 (岡部由佳里)

   ◇   ◇

発着18万8000回→23万回超 着陸経路を変更 間隔短縮可能に

 福岡空港を運営する地場連合の事業計画に着陸経路の変更案が盛り込まれた。国は滑走路増設後の発着容量を年間18万8千回と想定していたが、経路変更などで23万5千回程度まで増えるとみられる。

 福岡空港の着陸経路は風向きによって2通りある。航空機は、南風の場合は空港の北側から、北風の場合は南側から滑走路に進入する。地場連合が提案した変更は北風の場合だ。

 現在は博多湾から福岡市・天神付近の上空を南下、福岡県春日市付近で旋回して着陸する。急旋回が必要なため自動運航は使えず、パイロットが左手に見える滑走路を目視で確認しながら手動で運航している。手動運航は航空機ごとに経路や速度にばらつきが出るため、安全上、着陸の間隔は自動運航よりも長めに取る必要がある。

 一方、地場連合案は佐賀県上空などから福岡県久留米市付近へ南下。緩やかに旋回し、着陸までの直進距離を長く取る。これにより、自動運航で進入することが可能となり、航空機の経路や速度が一定に保たれる。航空機の着陸間隔は現在よりも短縮でき、着陸回数を増やせるという仕組みだ。

 国は増設する滑走路を離陸専用にすることを想定していたが、地場連合は経路変更に合わせて着陸に使うことも計画。2本の滑走路で着陸機を迎えることで、さらに発着容量を上積みできるという。

 地場連合が提案した久留米市などを通る経路は、現在も視界不良時に限って使っている。その割合は着陸機全体の7%程度だが、経路変更で25%前後に増える可能性がある。

 空港の管制業務を担う国土交通省が地場連合の変更案を決定すれば、春日市付近で旋回する経路はほとんど使わなくなる見通しだ。 (黒石規之)










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