ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

寅さんの面影求めて 平成元年映画「男はつらいよ」佐賀県内ロケ地巡る

2018年07月22日 03時00分 更新

記者:本山友彦


  • 嘉瀬川の土手から眺めた千代雀酒造(左手)。この土手に座って満男と泉は語り合う

  • 満男がカレーライスを食べたモクモクハウス

  • JR小城駅。寅次郎はここから葛飾柴又のさくらたちに電話をかける

  • 寅次郎とポンシュウが初詣客を相手に商売に励んだ須賀神社

 1989(平成元)年公開の映画「男はつらいよ ぼくの伯父さん」は、佐賀県、中でも佐賀市や小城市などの佐賀平野が主な舞台となった。主人公寅次郎のおい満男は後輩の美少女、及川泉に一目会いたいと単身バイクで佐賀を訪れ、ひょんなことから寅次郎と遭遇する−。あと1年足らずで終わる平成という時代に思いをはせながら、県内のロケ地を巡った。

 佐賀と福岡の県境、三瀬トンネル有料道路料金所そばにある喫茶店「モクモクハウス」(佐賀市三瀬村)。ここは満男が三瀬峠のカーブで転倒し、笹野高史さん演じるライダーに助けられて一緒にカレーライスを食べた店だ。店主の吉富登さん(70)によると、撮影は89年11月3日。1分余りの場面を1日かけて撮ったという。

 「選ばれた理由? もう忘れたねえ。ロケハンをした助監督に聞いたと思うけど」と吉富さん。

 当日は注文に応じて食事を出したり、邪魔になる看板をのけたりと忙しかったが、撮影の合間には出演者とも話した。「笹野さんは車やバイクに強く、映画でもホンダの1500CCに乗っていた。当時はあんまり有名じゃなかったが、今や名脇役。時の流れを感じるね」

 一方、寅次郎役の渥美清さんは体調が優れず、15キロほど離れた古湯温泉の宿泊先から来店できなかった。メニューや店内の様子は当時とさほど変わっていないという。

 すっかり姿を変えたのが、後藤久美子さん演じる泉が身を寄せた奥村邸。場所は佐賀平野を潤す嘉瀬川の河川敷沿い、れんが造りの煙突が目を引く千代雀(ちよすずめ)酒造(小城市三日月町)だ。実際の撮影は隣接する分家で行われた。

 当主の古川正孝さん(68)は「見物の人が多過ぎて、配達の車が外に出られなかった」と懐かしむ。寅次郎とテキ屋仲間のポンシュウが松原神社(佐賀市松原2丁目)の祭礼で酒を酌み交わす場面に、同酒造の銘柄「千代雀」が使われたという。

 だが2002年に酒造りをやめてからは白壁が剥がれ落ちるなど、酒蔵は老朽化が進んだ。見かねた建築士たちが昨年秋、白壁を板で覆う応急処置を施した。補修を手掛けたNPO法人まちのつぎての江島文理事長(43)は「銀幕にも取り上げられた佐賀平野を象徴する風景。寅さんファンにも酒蔵の保存活用に関心を持ってもらいたい」と話す。

 15年に駅舎が化粧直しされたJR小城駅(小城市三日月町)、小城高(同市小城町)、夏に「山挽(やまひき)祇園」が営まれる須賀神社(同)も登場する。映画の最後は須賀神社の初詣シーン。153を数える急な石段に備えてレンタルづえを商うポンシュウと、易断本のたんか売りに励む寅次郎との生き生きとした掛け合いが印象に残る。

   ◇   ◇

 1989年の出来事 1月に昭和天皇が崩御し、平成へと改元された。4月に消費税導入、6月にはリクルート事件で竹下内閣が退陣。世はバブル経済絶頂期で、年末に日経平均株価が史上最高値を記録した。天安門事件、ベルリンの壁崩壊、後にオウム真理教による犯行と分かる坂本堤弁護士一家殺害事件もあった。吉本ばななの「TUGUMI(つぐみ)」が年間ベストセラーとなった。










九州経済 ニュースの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事