ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

【あなたの特命取材班】学校の暑さ対策大丈夫? 教室のエアコンに地域差 福岡65%、長崎8% 設置費用が壁に

2018年07月20日 03時00分 更新

記者:金沢皓介、本田彩子


 「小学生の長男が学校で熱中症の症状を訴え、早退した。授業中の水分補給は認められていない。対応に問題はないでしょうか」。福岡県直方市の30代女性から特命取材班に疑問の声が届いた。教室にエアコンはなく、気温は35度に達していたという。全国で記録的な猛暑が続き、愛知県豊田市では熱中症で児童が亡くなる痛ましい事故があった。学校現場の暑さ対策はどうなっているのか。

 女性によると、長男は17日に学校で嘔吐(おうと)、発熱し翌日、熱中症と診断された。教室の席は直射日光が当たり、扇風機の風も届かない。水筒を持参していたが、普段から教師が「集中を妨げる」として授業中に飲むことを禁じているため、我慢したという。

 直方市教育委員会によると、小学校の教室にはエアコンはなく、来年度以降整備する方針。授業中の水分補給については「絶対に飲んだらいけないというルールはない。児童の安全を第一に学校判断で柔軟に対応していく」と説明した。

 授業中の飲食を原則禁じる自治体は少なくない。女性の長男のようなケースは他にもあるかもしれない。

      ■

 そもそも、冷房の設置状況は自治体によって大きく異なっている。

 文部科学省によると、公立小中学校普通教室の冷房設置率の全国平均は49・6%(昨年4月現在)。九州7県で上回ったのは福岡県(65・5%)だけ。福岡市や同県久留米市は小学校の全教室に設置。北九州市も本年度中に設置を終える。

 一方、最も低い長崎県は8・6%。大半の小学校で未設置の同県諫早市教委は「必要性は認識しているが、全小中学校に設置するには約8億円かかる」。設置が進まない理由はやはり、財政負担の大きさにある。

 豊田市で17日に亡くなった男児は校外学習から戻った後、意識不明となった。

 大分県教委は、気温35度以上なら原則、屋内外問わず運動を中止するよう呼び掛けている。連日猛暑日が続く同県日田市では、校外活動を中止したり、休み時間の外遊びを控えたりするよう指導する学校も。北九州市教委のように、医師や消防士を招き、熱中症予防や対処を学ぶ児童・生徒向けの講習会を開催する自治体もあった。

      ■

 暑さにどう対応するかは結局、学校現場の判断に委ねられている。福岡県教委は18日、各教委などに「ちゅうちょなく計画の変更、中断を行うなど適切な措置を」と通知文を出したが、年間を通した授業計画や部活のスケジュールもある。教師たちは何に注意すればいいのか。

 産業医科大の堀江正知教授は「熱中症の症状には個人差があり、暑い日の『集団行動』と『競技』は特に注意が必要」と指摘。子どもは集団行動では全体に合わせようとし、チーム競技では個人で手を抜けず、声を上げづらい傾向があるという。「教師は全体への注意喚起だけではなく、個人への声かけが大切。友達の異変に気付いたら、すぐ報告するよう児童に呼び掛けてほしい」と話す。

 まもなく始まる夏休みでは、日中に部活動をする機会が増える。堀江教授は特に留意する点として(1)直射日光を避け、日陰を選んだり、日陰をつくったりする(2)風通しを良くし、肌の表面に風が当たるような服を着せ、扇子やうちわを使う(3)こまめな水分補給に加え、頭や足に水をかけ、蒸発させて体を冷やす−の三つを挙げている。










特集 qレポートの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事