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西鉄バスのちょっといい話と「自動運転」

2018年08月01日 03時00分 更新

記者:下村ゆかり


  • 福岡市・天神を走る西鉄バス

  • 下村ゆかり(しもむら・ゆかり)
    2006年西南学院大商学部卒。11年8月から経済部。流通、製造業、金融などを担当し、18年8月から運輸担当。第1子の育休中、暇をもてあまして、博多―長崎間の「10枚切符」を半年で7セット購入した記録を持つ。福岡空港で食べるロイヤルホストのカツカレー(とビール)が好き。

 鉄道に加えて多くの路線バスも往来し、公共交通の要衝となる福岡市・天神。その中心部を運行するバスの車内でちょっとしたドラマに触れた。

 先日、西鉄の路線バスに乗車したときのこと。天神を東西に貫く昭和通りを走るバスが信号待ちで停車中、ある女性乗客が運転席に駆け寄り、前方を指さして運転手にこう声を掛けた。「すいません。あの人を乗せたいんですけど」。近くにいた私は「ん?」と思い、視線を女性が指さす先に。よく見ると、交差点とバス停の間で、白いつえを持った女性が困ったような表情で立っている。

 「いいですよ」。バスの運転手はすかさず返し、動きだしたバスを近くで止めると、降車口のドアをオープン。乗客の女性はつえを持った女性の手を引き、バスの中まで招き入れた。

 つえを持った女性が席に座ると、運転手は「いつも○○で降車されるお客様ですよね、私も覚えています。着いたらニモカ(西鉄の交通系ICカード)も設定するので大丈夫ですよ」と声を掛け、ゆっくり発車。つえを持った女性は2人に礼を言い、その笑顔を周りも見守った。

 何という見事な連携プレー。2人は、決まったダイヤの路線バスを利用する乗客と運転手だったのかもしれないが、ほんの短いやり取りに感じたのはさりげない優しさ。私を含め周りの乗客もほっとした気分になった。

 「バスっていいな」としみじみ思う話だが、業界に目を向けると少し胸が痛くなる話もある。バス業界でも人手不足が慢性化。九州各地では、自動運転バスの実証実験も始まっている。自動運転で活用されるのは人工知能(AI)を備えたロボット。しかし、どこまで運転以外の事象についても臨機応変に対応できるのかは未知数だ。

 公共交通機関の要は「平常時のルールの徹底」と「非常時の臨機応変さ」の案配だろう。定時運行も大事だが、西鉄バスの車内で触れたような人間味あふれるドラマも大事にしてほしい。難しい注文なのかな?










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