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鍋島の名品再現に挑む 佐賀・有田町のろくろ師 村島さん 17世紀後半の「白磁百合型小鉢」

2018年08月13日 04時05分 更新

記者:平原奈央子


  • 「本物に近づきつつ、自分なりの形に」と試行錯誤を続ける村島さん

 佐賀県有田町大樽のろくろ師村島昭文さん(82)が、17世紀後半の鍋島様式の名品「白磁百合型小鉢」の再現に挑んでいる。気高く咲く白百合をかたどった小鉢で、骨董(こっとう)市場でも極めて希少価値が高い。ふくよかな白肌の表現は至難の業で、村島さんは「職人冥利(みょうり)に尽きる腕試し」と68年のろくろ人生をかけて取り組んでいる。

 村島さんは15歳でろくろの道に入り、初代奥川忠右衛門さんに師事。同町の深川製磁で約40年間、皇室食器などを手掛け、薄作りで気品ある食器を数多く残してきた。現在は自宅の工房で後進の指導をしながら作陶に励んでいる。

 今回の制作は、弟子の大場美央さん(38)に「すばらしく高貴な百合型の小鉢がある」と紹介されたのがきっかけ。佐賀藩が将軍家などへの献上品として陶工に作らせたデザインで、同町赤絵町の「今右衛門古陶磁美術館」や福岡市美術館が伝世品を所蔵。村島さんは人の手のものとは思えないほどの高度な技術にほれ込み、発奮した。「こんなに風変わりな形は初めて。難しさへの挑戦が職人の希望であり、夢じゃっけん」

 半年かけ、7回試作した。ろくろで基本型を作って石こう型で白百合の形にし、削りを入れて仕上げる。花びらの絶妙な垂れ具合を出すため微調整を重ね、焼成温度も考え抜いた。青みがかった深みのある釉調(ゆうちょう)は、昔ながらの薪窯ならではの質感だ。村島さんは「現代のガス窯でこの表情が出せるよう苦心している。薪窯に比べガス窯は不純物が入らないため、きれいだが冷たい印象になってしまう」と思案する。

 猛暑の中で作業に没頭し3キロは痩せた。現在8回目の生地を完成させ、焼成を準備している。「自己満足を打ち消し、失敗を重ねてこそ、新しい器に到達できる」。有田屈指のベテランろくろ師は、緊張感を持って気持ちを引き締めている。

 百合型小鉢の骨董品は、今右衛門古陶磁美術館で常設展示しているほか、9月24日までは福岡市美術館の所蔵品が九州国立博物館(福岡県太宰府市)で特別展示されている。










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