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イカに感謝、通の食べ方は「全刺し」 中洲、生き造り発祥の店で14の部位に命名(追加あり)

2018年08月20日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 河太郎の店内のいけすで元気に泳ぐヤリイカ

  • イカの部位について議論する参加者たち

 そんなヤリイカを、料理店では大切に取り扱っている。河太郎の齋藤靖之総支配人は「仕入れが命。気候にも気象にも左右され、これまで取れていたところで取れなくなることも少なくない。自然環境の影響を受けやすい」と話す。さらに「新鮮さが命なので、物流は本当に重要。そしてデリケートなヤリイカが過ごせる自然環境を店内のいけすに再現するのも簡単ではない」と続けた。

 そんな歴史と背景を持つイカの生き造り。透き通った身は、塩だけ▽塩にレモンを合わせて▽わさび醤油――といった食べ方で、その甘みやこくが多彩になり、その歯ごたえとともにやみつきになる。

 そしてもう一つの楽しみが、食べ終わった後の「後造り」だ。福岡では後造りというと、天ぷらか塩焼きがスタンダード。しかし古賀社長によると、しかしイカ通はその両方も選ばない。あらかじめ「全刺し(ぜんさし)」をオーダーするのだ。耳慣れない言葉だが、全刺しとは読んで字のごとく「全て刺身」にすることだ。

 河太郎の代永秀太総料理長が「全刺し」を盛りつけた。三角形の「えんぺら」と胴だけではなく、げそ、目の周りの部分…それぞれに食感、甘み、コクが異なり、味わいの豊かさを再認識した。

 話が横道にそれるが、「ぜんさし」――。記者にとっては、実はちょっとつらい言葉だ。

「この原稿は『ぜんさし』せんとやな」。デスクがこう通告してきたとき、記者はかなりの苦難を覚悟せねばならない。「全さし」とは編集用語(?)でいうところの「全差し替え」。つまり「一から書き直し」である。

 閑話休題。イカ愛好家の中村さんは言う。「なぜ牛肉には部位ごとに名称があるのに、イカにはないのか」。

 牛肉には「ハラミ」「ヒレ」に始まり「イチボ」「ザブトン」など多彩な部位名が、その存在感を高めている。イカにも部位名を付けることで福岡の食文化の中での地位をもっと高めよう。「全刺し」の文化を全国発信することで、イカを通して福岡のさらなる魅力アップにもつなげよう。命名には、そんな思いを込めた。


次ページ:ついに部位の名前が決定

生き造りを盛りつける代永秀太料理長。透き通った身が美しい
生き造り発祥の店、河太郎本店は歓楽街・中洲の那珂川のほとりにある
「全刺し」。部位ごとに歯ごたえ甘みもコクも違う









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