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福岡の地価上昇を過熱させた「あの物件」が…

2018年09月04日 03時00分 更新

記者:石田 剛


  • 売却された「エスペリアホテル博多」。福岡のホテル用地獲得競争を過熱させる一因となった土地に建てられた=9月2日、福岡市博多区

  • 石田剛(いしだ・たけし)
    雑誌編集部に勤務後、2008年入社。地域報道センター、福岡西支局、佐賀総局を経て経済部。顔つきからか九州出身によく間違われるが、東京出身(八王子ですが)。

 ここ数年続く福岡の地価上昇の“節目”となった物件が売却された。

 福岡市博多区博多駅前2丁目、ヤマハ九州ビル跡地に建つエスペリアホテル博多。大阪市の不動産会社「サムティ」が2015年に土地を取得してホテルを建設し、今年3月に開業。8月29日、大和証券グループが出資する特別目的会社への売買契約が結ばれた。

 このヤマハ九州ビル跡地は博多駅から徒歩約3分、面積992平方メートル(約300坪)。好立地に加えまとまった広さがあり、不動産業界で注目されていた土地だった。

 15年に入札に出されてサムティが落札したが、業界を驚かせたのはその価格。業界関係者の話を総合すると、1坪1千万円近くとされ、「相場の2倍くらいの額」。折しも、福岡市内で不足されているとされたホテルの開発熱が高まっていたころ。「あの入札以降、ホテル用地の取得競争が激しくなった。福岡の地価上昇を過熱させる象徴的な取引だった」。福岡県の地価調査に携わる井上真輔不動産鑑定士は振り返る。

 エスペリアホテル博多の売却価格についてサムティは公表していないが、契約締結に関する説明では「平成29年11月期の連結売上高の10%に相当する額以上」としており、少なくとも60億円以上となる。サムティの土地取得額を1坪1千万円で計算すると約30億円。国土交通省の17年度建築着工統計調査に基づく福岡県内の宿泊施設の建築単価から計算すると、ホテルの建築費は約22億円。あくまで推定値を合算した単純計算でだが、サムティは8億円以上の売却益を得たことになる。

 取得額より高く売却する。不動産業では鉄則だろうが、今や福岡都市圏では一般の住宅でも珍しくない状況だ。三好不動産(福岡市)が8月28日、社員向けに開いたセミナーでは、中古マンションの価格が上昇していると報告された。

 一例を。15年建築の福岡市中央区薬院の3LDKマンションは、分譲時の価格が5960万円で、今年の中古売却価格が7250万円。09年建築の同市博多区博多駅前の4LDKマンションは、分譲時が4998万円で、中古売却価格は6千万円。マンションをお持ちのみなさん、売るなら今がチャンスかもしれません。

 中古住宅が好調な背景には、新築住宅価格の高騰がある。4〜5年前まで、福岡市でマンション1坪あたりの価格が200万円台だと高めの印象があったが、最近の新築マンションは好立地だと300万円台が珍しくなくなった。福岡市で新築マンションの購入を考えて説明会に行ったものの、価格の高さに諦めて条件を広げることにした、という地場企業の会社員の話をこの半年間で何度か耳にした。

 福岡市の公示地価は、商業地の平均価格が5年間で41%、住宅地の平均価格は20%上がった。既にリーマン・ショック前の価格水準を超えている。これはバブルなのか。さまざまな見方はあるが、不動産関係者の中では、今回の価格上昇は実需が伴うもので、バブルとは少し性質が異なる、との意見が多い気がする。ただ、不動産価格の上昇ほど、他の物価や賃金が上がっていないのは事実。私たちサラリーマンに住宅購入がどんどん「高根の花」になっているのは間違いない。










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