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太陽光や風力発電、増えすぎると停電の原因に?

2018年09月11日 03時00分 更新

記者:具志堅 聡


  • 具志堅 聡(ぐしかた・さとし)
    2014年入社。駆け出しは経済部で食品業界を1年間担当。2年間の大牟田支局勤務を経て、17年8月から再び経済部に。現在はエネルギー担当。初対面の人からは、ほぼ100%の確率で「沖縄出身ですか」と尋ねられますが、大分市出身です。

 最大震度7を観測した北海道の地震で、道全域が停電になる「ブラックアウト」と呼ばれる現象が起きた。道内最大の火力発電所が緊急停止し、連鎖的に他の発電所も自動停止したためだ。

 こうした大停電につながりかねない“火種”が九州にもある。それは、太陽光や風力発電の増加に伴うものだ。九州では7月末現在で太陽光の接続量が803万キロワット、風力が50万キロワットに上る。九州電力玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)の出力は各118万キロワット、川内原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)が各89万キロワットある。太陽光と風力発電を合わせれば「原発8基分」ほどの出力がある計算になる。

 今年のゴールデンウイーク期間には一時、太陽光発電の出力が需要の8割を占めた。ただ、太陽光や風力発電だけで全ての需要を賄えるかと言うと、現実的には厳しい。当たり前だが、太陽光は天気や時間帯で発電量が変わる。発電の不安定さを解消するため電気をためる必要があるが、大容量で安価な蓄電池が普及していないのが現状だ。

 九州では9月にも、太陽光や風力発電事業者に稼働停止を求める「出力制御」が現実味を帯びている。実施されれば離島以外で全国初。電力需要は、工場やオフィスが休みの日に低くなり、涼しくなると一般家庭の使用量も少なくなる。需要の低下に合わせ、太陽光や風力発電の出力を制御する必要が出ている。

 悩ましいのは、太陽光など再生可能エネルギーの出力制御を巡ってはさまざまな意見もあることだ。今回、主に住宅に設置されている出力10キロワット未満の太陽光発電は制御の対象から外れている点を踏まえると、市民生活に大きな影響はないようだ。発電事業者の計画には少なからず影響が出るものの、出力制御を前提に契約を結んでいる。ただ、これから出力制御が常態化すれば対応も大変になるだろう。

 そして、原発の再稼働が全体の供給力を底上げしている面は否めない。ただ、原発は短期的に供給力を微調整するのは難しいとされており、出力制御は、揚水発電所の水をくみ上げる「揚水運転」、火力発電抑制、再生可能エネルギーの順に行われるルールになっている。現状では需給バランスを保つため太陽光や風力の出力制御が避けられない。

 発電時に燃料を使わず、二酸化炭素(CO2)を出さない太陽光や風力発電を中心にした暮らしは理想的だが、まだ実現にはほど遠い。日本は再エネ先進地である欧州のように、陸続きの近隣国と電力を融通できないという側面もある。

 北海道は地震の影響で全域が停電したが、九州は太陽光や風力が増えすぎたことで、出力制御をしなければ大規模な停電につながりかねない事態に直面している。電気は、需要と供給のバランスが崩れると周波数が乱れ、発電設備が故障を防ぐために自動停止し、停電が起きる可能性が高まる。

 九州は、太陽光と風力の発電能力が全国の約2割を占めるほど導入が進んでいる。今後、出力制御を極力避けるためには、コストはかさむが、蓄電池の設置拡大や本州に送電する「関門連系線」の増強などが課題解決の一つの手だろう。九電には、先進地のモデル企業になれるチャンスがあるとも言える。










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