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尾畠春夫さんの活躍は「高齢社会のプラス面」

2018年09月12日 03時00分 更新

記者:西山忠宏


  • 西山忠宏(にしやま・ただひろ)
    1965年生まれ。福岡市で育つ。
    89年に西日本新聞社に入社。北九州支社、若松支局、社会部、東京支社、経済部、医療担当編集委員などを経て、2016年9月から経済部の農林水産業担当編集委員。

 この夏、山口県周防大島町で行方不明になっていた2歳男児を発見した大分県のボランティア尾畠春夫さんの活躍は、大きな話題となった。捜索を始めてわずか30分で男児を発見した手腕に驚嘆、感動した人は多かっただろう。軽ワゴン車に食べ物や水、寝袋を積み込み、助ける相手側に迷惑をかけないのを信条とする点も大勢の人が「さすが」と称賛しただろう。

 ただ、尾畠さんのように宿泊も含めて自己完結できるように装備して被災地に駆けつけるボランティアは他にも大勢いらっしゃると私は推察している。というのは昨年7月の九州豪雨で被災した福岡県朝倉市などを取材で訪れたとき、そんなボランティアたちにたくさんお会いしたからだ。

 当時の取材ノートをめくりながら振り返ってみると、きっかけは「テント泊しながら長期で支援活動に従事するボランティアがいる」という知人からの情報だった。それで向かったのが朝倉市に隣接するうきは市の「道の駅うきは」。一部が、ボランティアの宿営地として開放され、いくつものテントやキャンピングカーなどが並んでいた。その光景に少しびっくりしたのを今も覚えている。

 神奈川県からワゴン車で来た男性(67)は「会社員などとして62歳までは働いた。ボランティア活動は退職後のライフワーク。熊本地震の被災地にも行った」と話してくれた。ワゴン車の中には自炊道具、マット、寝袋、テレビ、電池式蚊取り線香。ボランティアとしていろいろな作業ができるよう高圧洗浄機、チェーンソーも積載していた。

 「テントだと寝返りが打てて疲れが取れるし、宿泊費ゼロ。あと10日は(民家からの土砂除去などの)活動を頑張りたい」と語ってくれたのは山口県の男性(56)。石川県からキャンピングカーで訪れた男性(72)は「人助けにやりがいを感じている」とおっしゃった。

 この3人を含め取材に応じてくれたボランティアたちの話を総合すると、宿泊装備を持参して被災地で支援活動する人たちの大半は、仕事の一線を退いた60代以上。時間的にも経済的にも余裕があるのだろう。全国各地で次々と起きる災害の被災地を支援で回る人が多いようだった。

 災害が相次ぐのは御免だが、こうした支援活動がシルバー世代の間で盛んだとしたら、高齢社会のプラス面と受け止めていいのではないか。男児救助の尾畠さんも78歳である。










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