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宿泊税巡り綱引き激化 福岡市「迅速に導入」 県は観光の広域性主張

2018年09月13日 03時00分 更新


 観光財源の確保を目的にホテルなどの宿泊客に課税する「宿泊税」導入を巡り、福岡市と福岡県の綱引きが過熱している。市議会主要会派は「県内訪問客の半分は福岡市に泊まる」と主張し、市税での徴収を目指して9月議会に条例案を提案。市側も12日の市議会で迅速導入の方針を示した。対する県は観光の広域性を訴え、県税を念頭に置く。両者が折り合わなければ二重課税になる恐れもあり、空前の「来福ブーム」に水を差しかねない状況だ。
   
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 今月6日、自民、公明など福岡市議会の5会派は9月定例会に、宿泊税の創設を盛り込んだ観光振興条例案を提案。14日に賛成多数で可決される見通しで、市側は成立を受けて税額や実施時期など具体的な制度設計に入るとみられる。

 市議会が市の独自財源にしようとするのは、県内観光客の多くが市内に泊まるためだ。観光庁によると、昨年の県内宿泊者約1479万人のうち市内の宿泊者は約689万人で5割近い。「市に宿泊した客から徴収したものは、市の観光政策に使われるべきだ」(中堅市議)との考えがある。

 もともと宿泊税の検討着手は県が先。増加する訪日外国人客に対応するため、新たな財源創出に向けた有識者会議設置費を本年度当初予算に計上した。焦った市議会側は急ピッチで市税としての検討作業を始めると、4月には地場ホテル業界関係者へのヒアリングで「県より市で徴収すべきもの」との意見を集め、条例案提案にこぎつけた。

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 「観光は広域性があり、県全体で考える必要がある」。市議会の動きが表面化して以降、小川洋知事は一貫してこう主張してきた。県内には世界遺産となった沖ノ島(宗像市)や太宰府、柳川などの観光スポットが点在。福岡市を宿泊拠点としながら県内全域や九州を回る旅行者も少なくない。県は7月以降、有識者会議を2回開催。2020年度までの導入を念頭に来年度、最終報告をまとめる。

 ただ宿泊業関係の会議の委員には慎重論が根強く、県の思惑通り進むかは不透明。市議会に先を越される形に県議会関係者は「なぜ早く調整に乗り出さなかったのか」といら立ちを隠さない。一方の小川知事は福岡市が導入を検討する場合は「二重課税とならないように調整が必要になる」と協議の余地も示している。
  
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 市は当初、新税創設に後ろ向きだったが、12日の市議会で市幹部が「安定的な観光財源の必要性は理解しており、当局としても迅速に対応していく」と明言。「福岡市は陸海空の九州の玄関口」と位置付けており、安定財源で市内の観光機能を強化することが、九州全体の観光振興にもつながると判断したようだ。

 神奈川大の青木宗明教授(租税論)は「宿泊税は総務省の同意が必要で、状況次第で県と市に調整を求める可能性がある。ただ、安易に税導入を進めるのではなく、県も市も慎重な議論が必要だ」と指摘する。 (大坪拓也、小野浩志)

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全国5自治体が先行 額や免税対象に違い 

 2002年、宿泊税を初めて導入したのは東京都だった。昨年1月には大阪府が、今年10月には市町村として初めて京都市が採用する。金沢市も導入予定で、北海道倶知安(くっちゃん)町は19年からの実施を目指している。

 5自治体とも訪日外国人客(インバウンド)の受け入れ整備など、観光振興に充てることを目的にしている。都は多言語に対応する電子看板整備などに活用。京都市は観光客による混雑で市民生活に支障が出ているとして、分散化といった対策にも活用する予定だ。

 自治体によって異なるのが税額。1人1泊当たりの宿泊料に対し課税するのが基本で、都以外は民泊も課税対象にしている。都や大阪府はビジネス客など「非観光」に配慮し1万円未満を免税している。一方、他都市より観光客の割合が多い京都市は1万円未満にも課税。金沢市も宿泊事業者間の公平性を考慮して課税する方針だ。

 都の宿泊税収は近年、インバウンドの増加などに伴い右肩上がりで伸びている。「観光施策の拡充は宿泊施設にも恩恵があるので、施設側も課税を理解している」(都税制部)と異論は少ないという。 (三重野諭)










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