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自転車スマホ 視界95%減 歩行者と衝突 昨年45件 電動化で重く 増す危険

2018年09月24日 03時00分 更新


  • 記者が疑似体験したVRの映像(KDDI提供)

  • VR端末でながらスマホ自転車を疑似体験する記者

 スマートフォンを操作しながら自転車を運転する「ながらスマホ」で歩行者と衝突する事故が急増し、社会問題化している。昨年は九州の3件を含め全国で45件発生。スマホが普及し始めた10年前に比べ3倍以上に増えた。専門家によると、ながらスマホは視界が通常の5%にまで狭まる。福岡県は条例にながらスマホ禁止を盛り込むなど自治体も対策に乗り出した。

 警察庁によると、スマホなど携帯電話を操作しながらの自転車運転中の事故は、2007年の13件から増加傾向で、昨年は前年比19件増の45件となった。

 悲惨な事故も起きた。川崎市では昨年12月、スマホと飲み物を持って電動アシスト自転車に乗った女子大生が歩行者の女性=当時(77)=と衝突し、女性は死亡。重過失致死罪に問われた女子大生に今年8月、有罪判決が下った。

 愛知工科大の小塚一宏特任教授(交通工学)は「通常、視界は左右で計約6メートルあるがスマホ操作時は約30センチに狭まる。意識もスマホに集中し、ブレーキ操作が遅れる」と指摘。近年は重量のある電動自転車や高速で走るロードバイクが人気なため「ぶつかった時の衝撃も大きく、危険性が増している。自分は大丈夫と過信しないで」と訴える。

 昨年4月、自転車のながら運転禁止を明記した条例を施行した福岡県は、親子向け講習会などで啓発。京都府は、ながらスマホの危険性の検証結果をホームページで紹介するなど、全国の15都道府県が条例で自転車の安全利用を呼び掛けている。 (御厨尚陽)

   ◇   ◇

見えてたつもり…過信禁物 記者、VRで疑似体験

 自転車のながらスマホ運転はどれほど危険か−。携帯電話大手KDDIが啓発用に開発した仮想現実(VR)端末を使って記者(24)が疑似体験した。

 ゴーグル型のVR端末を着けると、木々が生い茂る小道が広がった。精巧なコンピューターグラフィックス(CG)も駆使した仮想空間は現実さながらの光景。右手はハンドル、左手にスマホを持ち、自転車に乗っている設定だ。

 「スマホを見ながら走行してください」。音声に従い、自転車の平均的速度、時速10キロで自動走行がスタート。右手のリモコンを押すとブレーキがかかる。スマホに表示された会員制交流サイト(SNS)の画面に数秒おきに届くメッセージ。視線を落としながら左カーブを進んでいく。

 バスケ歴14年、反射神経には自信がある。周囲に車や歩行者は見当たらず、これなら余裕だ。

 カーブを曲がったところで歩行者と擦れ違った。50メートルほど先に車が止まっている。前方を気にしつつも、矢継ぎ早に届くメッセージを確認しようとスマホ画面に目を落としていると、車の陰から歩行者の男性が。あっと思った瞬間にブレーキをかけたが、遅かった。

 「ガッシャーン」。男性が驚いた表情で振り向き、衝撃音が響いた。ピーポーピーポーと救急車のサイレンが耳をつんざく。事故ってしまった。「(男性が現れてから)ブレーキをかけるまで2・9秒かかりました」と画面に表示された。

 反応がこんなに鈍るとは。見えているつもりだったが、スマホを気にしながらの視野は極端に狭く、男性に気付くのも遅れた。自分を過信していた。

 もし、現実だったら−。リモコンを握った手は、じっとりと汗をかいていた。 (長田健吾)










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