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天ぷら「ひらお」が進む道 無料いかの塩辛、完全復活へ一歩 福岡のソウルフードを育てた“クレーム”

2018年09月27日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 福岡都市圏での直営にこだわる青柳正典社長

  • 「天ぷら定食」と同じ大きさで看板に書かれた「いかの塩辛」。ひらおにとっては、不可欠な存在だ=貝塚店

隣のより俺のナス(の天ぷら)がこまい(小さい)」
ご飯が少なかろうが
仕入れの都合で代用のエビを使ったときは「店長ば呼んでこい
天つゆを火加減を少し誤ってたぎらせてしまうと「辛か
屋号を入れた配送車を見かけたという人から電話で「80キロ出しよるぞ

 こうしたクレームを、ひらおは流さずに受け止めてきた。

 「見せることで、こちらがちゃんとしないといけなくなる」と青柳さんは語る。かつては店員たちが自ら持ち帰り、洗っていた制服も「アイロンかけてこい」とのクレームを受け、手入れが行き届くレンタルに切り替えた。

 「クレーマー様々。社員よりも品質にうるさいクレームが『ひらお』の味を守ってくれる」。自身もかつて調理場に立ち、長く店長を務めてきた青柳さんは実感している。「とんでもないクレームだけど、すごいヒントをくれている」

 ひらおの内装は壁もテーブルも白色が基調だが、これは「汚れをあえて目立たせるため」。コの字形のカウンターは効率を求めるだけではなく、調理風景を「後ろから見せるため」でもある。

ひらおの「方程式」

 10月3日に開店する天神アクロス福岡店はガラス越しに店内がよく見える。ひらおとしては初めて、人目を引く木調の内装にした。「お客さんだけでなく、外を通る人からも中の様子を見てもらうため」だ。

 アクロス店の特徴は、待合スペースの広さ。約30席の客席に対して、待合席は約50人分もある。揚げたてをカウンター越しに出す「揚げ出し」スタイルのひらおでは、客席を増やしすぎると揚げたてを提供できないからだ。

 客席をもっと増やせば…と思うが、そうではない。最も効率の良い席数は「34席」という。どういうことか。

 「コ」の字形のカウンターを半分に分け、▽揚げる▽配る▽ご飯をつぐ(よそう)――などに従事する3人1組のスタッフが、仕事の質を落とさずに料理を提供できる最大の人数、それが17人だという。「これ以上席数を増やすと、仕事が雑になる」と青柳さん。長年の経営でたどり着いた、ひらおの“方程式”である。

 アクロス店を含む7店舗のうち6店が福岡市内、残る1店舗も福岡市境に近い福岡県久山町に置く「ひらお」。県外への広域展開の構想はないのか。

 「一番大事な、材料の鮮度を保つにはここしかない。県外に出るなら妥協するしかない。遠いところに店を作って、例えば工場が二つになると、やり方が変わる。やり方が変わると、味が変わる。味が変わると、飽きられる」

 かくして今後も、福岡のソウルフードとして天ぷらを揚げ続ける「ひらお」。青柳さんはひらおスタイルへのこだわりを、こんな表現で語った。

 「待ってまでして食べてもらうなら、それぐらいやらないと。『昔はおいしかったのにね』とだけは、言われたくない」



<次ページはおまけの画像>

天神アクロス福岡店の内覧会で揚げたてを提供する「ひらお」のスタッフ
無料サービスの完全復活を目指すいかの塩辛









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