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「かぶりもの」から見た福岡(前) ギンギラ太陽's・大塚ムネトさん “許されて20年”すべては取材から

2018年10月01日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 2007年3月31日、閉店を迎え深々と頭を下げる博多井筒屋の関係者たち

  • 2011年3月5日、開店から1時間を超す待ち時間の行列ができた博多阪急の地下食品売り場

 ―不安や無力感はあった?

 大塚 2007年からしばらく、流通を題材にしていなかった。「地上最大の作戦」も「さすがに一回ぐらいは流通を物語にするか」という感じでネット通販を取り上げた。ただ、街って流通もあれば交通もある。だからそのころちょうど到津遊園の復活があったので遊園地の話を作ったし、YS11が日本の空から引退するということもあった。流通以外のことをやりながら、(ギンギラの作品の幅が)広がっていった。

「コト消費」に活路

 ―しばらく続いた流通の低迷を打破したのが「JR博多シティ」だった。

 大塚 2011年は2月に「地上最大の作戦」の後、4月に「流通戦争だよ全員集合!」。7月に「博多駅がやってくるヤァヤァヤァ」。11月に「明日に向かって売れ」と、流通ものを次々にやった。郊外店との戦いからネットとの消耗戦、そして博多シティの誕生で「天神と博多の競い合い」のフェーズになった。やっと、待っていた流通の話ができた。

 博多に阪急が来たというのが、とても印象的だった。福岡の街の成り立ちを振り返ると、岩田屋が天神に店をつくるときに手本にしたのが阪急だった。国内最初のターミナルデパートを作ったのが阪急。さらに阪急が作った沿線開発という私鉄のビジネスモデルを、西鉄と岩田屋がお手本にした。

 博多が活性化すれば、天神も元気になる。かつて天神の手本になった阪急が今度は博多を助けて、それが今、天神を助けることになる。僕自身には阪急が来ることにすごく必然を感じた。

 ―それから7年。天神は活気を取り戻した。

 大塚 ネットにはできない、店舗の良さはまさに、そこでしか体験できない「コト消費」。JR博多シティにはポケモンセンターや書店があり、保安上の理由や経費の理由で屋上が閉鎖されたビルが増える中、あえてそこを楽しめる場所にした。「家族が出かける楽しさ、そこでしか味わえないワクワク」を打ち出した。

 ネットと過剰に競争しているときの店舗は、「買い物する人」のことばかり考えていたように見えた。その場所で「過ごしたい人」のことは置き去りにされていた。そのころの天神は買い物の便はよくても、ちょっと座るところがあっただろうか。あまりお年寄りに優しい街じゃなかったかもしれない。

 JR博多シティができた後は、天神にもエスカレーター周りに座れる場所が増えた気がする。確実に言えるのは、老舗の百貨店が家族向けのイベントを再び頻繁にやるようになった。現実の店に「ワクワク」が戻っている。


稽古前、インタビューに応じる大塚さん
大塚さんの自宅の書棚は、地場企業にまつわる書籍や社史で埋め尽くされている
戦前、時計台があったころの天神ビルを演じる大塚さん
ギンギラの舞台では、開演前に写真OKの「撮影タイム」がおなじみだ









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