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「かぶりもの」から見た福岡(前) ギンギラ太陽's・大塚ムネトさん “許されて20年”すべては取材から

2018年10月01日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 戦前、時計台があったころの天神ビルを演じる大塚さん

  • ギンギラの舞台では、開演前に写真OKの「撮影タイム」がおなじみだ

「許し」の源流に「にわか」

 ―博多駅前の大陥没をユーモラスに描くなど、少しブラックな話題も織り交ぜる。なぜ福岡で受け入れられる?

 大塚 「博多にわか」の伝統が、僕らが許してもらえる大きな背景になってくれていると感じている。博多にわかは、福博で起きている世相や事件をある意味、笑ってみんなで楽しむ文化だった。

 ギンギラを始めたとき、いわゆる「大人」には怒られるかなと思っていたが、意外にも年配の方々が最初から笑って許してくれた。これって今思うと、明治からずっと続く、博多の世相を笑う「にわか」の文化がそもそも根付いていたのかなあ、と。自分たちだけの力じゃない。

 システムだけじゃない「おおらかさ」があるのが福岡のいいところ。東京みたいにシステムだけでカッチリできあがっている街だったら、僕らの劇は、きっと許されないだろう。

上書きの街に岩田屋の存在感

 ―生み出してきたキャラクターの中で、心に残る存在は。

 大塚 街は基本的に上書きされていく。そこに「記憶」は残りにくいけど、ギンギラにとって幸いだったのは、天神に昔も今も、岩田屋がどーんといてくれたこと。おかげで、僕は天神の物語をたどるきっかけもらえた。そして福岡県小郡市の出身だった僕は、小さいころ日曜日に西鉄の急行で天神に来ていた。西鉄と岩田屋の存在は、やっぱり大きい。

 ―福岡は自身にとって、どんな街?

 大塚 小さいころから、天神は休みの日に家族で電車で来るあこがれの場所だった。日曜日、妹と父母と4人で岩田屋に行っていたが、お金はそんなに使っていない。払ったお金よりも、もらったワクワクの方が圧倒的に多かった。でも、おもちゃ売場で遊ばせてもらったり、屋上で遊んだりして、天神が家族の思い出の大事な場所になっている。それはまさに「コト消費」。それは巡り巡って、お店とそこに住む人の信頼関係になるんだと思う。

後編:第5次流通戦争?街は連続ドラマだらけ に続く)

大塚ムネト(おおつか・むねと)氏 1965年4月生まれ。97年から劇団「ギンギラ太陽's」を主宰。地元福岡を題材とし、擬人化したビルや乗り物が登場するのが特徴。作・演出・かぶりモノ造形・出演のすべてを手がける。第42回ギャラクシー賞ラジオ部門優秀賞、2007年度福岡県文化賞などを受賞。福岡県出身。
稽古前、インタビューに応じる大塚さん
大塚さんの自宅の書棚は、地場企業にまつわる書籍や社史で埋め尽くされている
2007年3月31日、閉店を迎え深々と頭を下げる博多井筒屋の関係者たち
2011年3月5日、開店から1時間を超す待ち時間の行列ができた博多阪急の地下食品売り場









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