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原城跡・砂利敷設問題 長崎・南島原市「指導に従う」

2018年10月14日 03時00分 更新

記者:真弓一夫、野村大輔


  • 原城跡の二ノ丸では、この日も観光バスや乗用車が入れ替わり駐車していた(左奥は本丸)=5日午前11時半ごろ

 世界文化遺産に登録されている「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産の一つ、長崎県南島原市の原城跡(国史跡)で、市が文化庁に無断で二ノ丸の一部に砂利を敷いて遺跡の現状を変えた問題が明らかになった5日、同市は緊急の会合を開き、国や県の指導に従って慎重に対応することを確認した。

 市は史跡外2カ所に駐車場を整備しているが、城跡中心部の本丸まで約900メートルの距離がある。市はシャトルバスの導入など「車で訪れた観光客に負担をかけない方法」(担当課)を検討していくという。

 ただ、この日も二ノ丸には大型バスや観光客の乗用車が入れ替わるように次々に駐車。ひざが悪くつえを突く福岡県の60代女性は「史跡の保全が大切なのは分かるが、足腰の弱い者でも楽しめるようにしてほしい」と要望した。

 島原半島で観光に携わる業者は「原城跡を組み込むバスツアーの人気は高いだけに、駐車場問題の行方は心配」と市の対応を見守る姿勢。一方、史跡内で農業を営む女性は「耕作地まで車がないと大変。これまで通りの便宜を図ってもらいたい」と話した。 (真弓一夫)

    ◇      ◇

人類の遺産守る■世界への約束忘れるな

 「史跡内では土地の掘削工事や建築物・工作物の設置等、現状を変更する行為を無断で行う事はできません」−。原城跡のあちこちに、こう書かれた看板が立っている。史跡内には畑などの私有地もあり、遺跡の保護には市民の協力が欠かせない。文化財保護法を熟知するはずの市が基本的なルールを破った罪は重い。

 砂利をまけば史跡の景観は変わり、「現状変更」に当たるのは明らか。文化庁に無断で変更したことについて、南島原市世界遺産推進室は「認識が甘かった」と釈明するが、文化財の専門家たちは「絶対にあり得ない行為」と口をそろえる。

 思い浮かぶのが、同じ市内にある国史跡・日野江城跡だ。約10年前、旧北有馬町が文化庁に無断で桜を植える工事を行い、遺跡を壊したため、同庁が文化財保護法違反容疑で元町長らを告発した。市はこの教訓を忘れたのだろうか。

 砂利が敷かれた二ノ丸の広場で、市は今秋から発掘調査を予定する。その手続きは文化庁に申請しており、文化財行政はちぐはぐだ。原城は島原・天草一揆の後に破壊され、地上に残る遺構が少ない。「10センチ掘れば遺構がある」と城郭研究者は言う。砂利の上を車が走ると、地下の貴重な遺構が傷つく。史跡から離れた駐車場は不便だが、遺跡の上を“駐車場”にする理由にはならない。

 近年、九州では世界遺産登録が相次ぎ、観光振興への期待は大きい。遺産を活用することも大切だが、世界遺産の目的は、人類共通の遺産を国際社会が協力して守ることだ。この夏、私たち一人一人が世界に約束したことを忘れてはならず、知恵を出し合いたい。 (野村大輔)










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