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【あなたの特命取材班】入居者 気付けば自治会員 会費、契約時に自動徴収 住民「加入義務はない」 会長「組織たちゆかず」

2018年10月14日 03時00分 更新

記者:山田育代


  • 賃貸条件に町内会費が盛り込まれた入居契約書(写真の一部を加工しています)

 自治会への加入は任意のはずなのに、家賃と一緒に会費を引き落とされて退会できない−。佐賀市の40代女性から特命取材班にこんな相談が寄せられた。どんな仕組みなのか。取材を進めると、地域の担い手として期待される一方で、活動の継続に悩む自治会の姿が見えてきた。

 女性は1年前に、県外から佐賀市の賃貸アパートに引っ越した。入居契約書に自治会費という記載はあったものの、不動産会社からは、本来任意加入であることの説明や加入意向の確認はなかった。毎月600円の会費を徴収されている。「会長が誰かも知らないし、水路掃除への参加を求められたこともない。一切関わりがないのに何で加入しなきゃいけないの」

 総務省によると、自治会や町内会は、安全で安心な地域づくりのために住民が自主運営する組織で、加入義務はない。高齢者や子どもの見守り、防犯対策、交流行事など活動状況は地域によってさまざま。近所づきあいが希薄な都市部では参加しない人も多い。女性も退会を考えたが「変なうわさになると住みづらくなる」と言い出せずにいる。

      ■

 こうしたケースは珍しいのだろうか。記者が、これまでに自分が住んだ賃貸マンションを調べてみた。すると6軒のうち3軒の契約条件に「自治会費」や「町内会費」が盛り込まれ、入居するには加入するしかない状況だった。現在住む福岡市の物件も同じ。管理会社が会費を集めて町内会に納めている。

 東京、大阪などでも賃貸マンションを扱う管理会社は「加入促進のために入居条件に入れる物件は珍しくない。集金も管理サービスの一環で、払わない住民に代わって私たちが納めることもある」と明かした。

 記者が加入する町内会の会長は、古びた一軒家の男性(78)だった。「14〜15年前から会長をしていて副会長や会計はいない。参加者がいなくて総会も開いていない」

 集合住宅が多いこの地域では、「個人情報の壁」で加入者やその数も把握できていないという。管理会社などから年間約60万円の会費が町内会口座に振り込まれ、そこから自治連合会の会費や、日本赤十字社への寄付などを支出している。活動実態はなく「決算書は作っていない」。

 会長1人で管理する口座通帳も見せてもらえず、管理会社が適切に会費を納めているかどうかや、使い道は確認しようがなかった。

      ■

 過去には、自治会役員が会費を着服した例も九州各地である。自治会の実態に納得できない時、退会はできないのだろうか。

 福岡マンション問題研究会代表の松坂徹也弁護士(福岡市)は「契約書がある以上、退会すると契約違反を問われる可能性もある」と話す。同時に「不満が出るのは自治会が活動内容や存在意義を示せていないから。しっかり説明し、納得の上で入ってもらうことが重要だ」と指摘する。

 自治会は住民同士の顔が見える関係を築き、東日本大震災や九州豪雨などでは安否確認や避難所運営の要となった。市町村は「地域づくりのパートナー」と頼りにする一方、運営には関与せず、加入者が減って役員が高齢化、固定化する自治会が目立っている。

 福岡市の別の自治会会長(81)は「年を取って『弱者』になると、助け合いの大事さが分かるのだが…。働きに出る高齢者が増え、地域の世話をする人が減った。このままでは自治会はたちゆかなくなる」と危機感を募らせている。










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