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「本匠ウーロン茶」開発に挑む 大分・佐伯産茶葉で新商品 伝統の釜炒り製法

2018年10月22日 03時00分 更新

記者:堀田正彦


  • 製茶工場で見学者に本匠烏龍茶の工程を説明する小野隆壽さん(左)

  • 茶畑の手入れをする小野さん=佐伯市本匠虫月地区

  • ウーロン茶も作り始めた製茶工場=佐伯市本匠堂の間

  • 試験販売を始めた本匠烏龍茶のパッケージ

 大分県産銘柄茶の一つ「因尾茶」の産地佐伯市本匠で、地元産茶葉を使ったウーロン茶作りの挑戦が始まった。先進地である宮崎県から専門の機械を導入し、試行錯誤の末に仕上げた試作商品が、今月から同市内の道の駅などに並び始めた。日本茶の消費減や生産者の高齢化に直面する山あいの小規模産地が打ち出したのは、圧倒的少数派の「釜炒(い)り」という伝統製法を生かす戦略だ。

 本匠は豊後水道に注ぐ番匠川の上流域に位置し、川沿いに集落が点在する典型的な中山間地だ。ウーロン茶作りに乗り出したのは有限会社「きらり」。佐伯市と合併した旧本匠村の農林業振興を目的に2005年に設立され、市の製茶工場の指定管理者として生産・販売を担っている。

 工場の責任者で自身も茶園を経営する小野隆壽さん(62)によると、本匠の茶作りは古く、江戸時代に佐伯藩内で最多のお茶を藩主に献上したとの記録がある。ただ、自家消費中心の茶作りで規模は小さい。県園芸振興課によると、因尾茶を含む佐伯市の荒茶生産は2016年度29トンで、県全体(481トン)の約6%に過ぎない。新製品づくりは、生産者の意欲を高め、産地を維持するために昨年から取り組み始めた。

 県産銘柄茶の「きつき茶」「耶馬溪茶」などが「蒸し茶」であるのに対し、因尾茶は「釜炒り茶」である点が特徴だ。摘んだ葉が発酵しないよう加熱する工程「殺青(さっせい)」を蒸気で行うのが蒸し茶、じか火の釜で行うのが釜炒り茶だ。日本茶古来の製法で、熊本県や宮崎県の山間部など九州の限られた地域にしか残っておらず、生産量は日本茶全体の1%未満ともいわれる。

 小野さんらがウーロン茶に着目したのは、因尾茶同様の釜炒り工程があり「製茶工場のラインをそのまま活用できる」うえ、二番茶を有効活用できるからだ。

 小野さんらは、国産茶葉のウーロン茶づくりの先進地、宮崎県まで勉強会に通うなど約1年間、準備を重ねた。ウーロン茶は「半発酵茶」で、日本茶にはない発酵工程をこなさねばならず、今年3月には発酵工程を自動化する機械を約460万円かけて導入、今年産の茶葉5品種で計約60キロを試作した。このうち上質に仕上がった約10キロを「本匠烏龍茶」の名で試験販売することにした。

 7月に市幹部や市議らを招いた試飲会では「香りが強く上品な味」「爽やかで飲みやすい」などおおむね好評だったが、ウーロン茶作りは緒に就いたばかりで「色が薄い」「緑茶と変わらない」など一部で厳しい評価も。今後は最も多く栽培されている品種「やぶきた」で、いかに品質を上げていくかが課題だ。

 独自に和紅茶も作っている小野さんは新商品開発の厳しさを覚悟する。「茶商さんに認められる品質を安定して出せるよう、ウーロン茶に適した葉の伸ばし方、発酵させ具合など、まだまだこれから。いつか台湾にも行って勉強したいね」。来年の生産に向け今日も茶畑の手入れに立つ。










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