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福岡市長選まで1カ月 福祉、雇用の道筋、どう示す 「元気な街」に高齢化の影 

2018年10月18日 09時24分 更新

記者:前田倫之


  • 認知症のケア技法「ユマニチュード」の講座を受ける児童たち

 福岡市長選(11月4日告示)の投開票日まで18日であと1カ月。人口約157万人、「日本一元気な街」と評される福岡市に高齢化が影を落としている。現在の高齢化率(65歳以上の割合)は21・4%で超高齢社会に突入、2045年には31・7%に拡大する。高齢者数は現在の約1・6倍、約53万人に上る見込みだ。社会保障費の膨張が避けられない中、いかに必要な公的サービスを維持し、健康で自分らしく生きる社会モデルを示せるか−。「次の4年間」が問われている。

 9月、福岡市南区の小学校で、認知症の人の尊厳を重視するフランス発祥のケア技法「ユマニチュード」の児童向け講座が初めて開かれた。4年生が患者役と支援者役の2人一組で向き合い、包み込むように手を握り合うと笑みがこぼれた。「何だかほっこりする。困っているお年寄りにはこんな風に接すればいいんだね」

 市は全国に先駆けてユマニチュードを導入した。患者の家族や専門職だけでなく、子どもたちも高齢者が地域で暮らせるための担い手として期待している。

    ◇   ◇

 国立社会保障・人口問題研究所の推計では、15年から45年の高齢者増加数は、同じ政令市の北九州市と熊本市が約9500人、5万6千人に対し、福岡市は約20万7千人と突出。市財政を見ると、昨年度、歳出のうち医療、介護など「保健福祉費」は一般会計の中で最大の24%超、2065億円を占めた。

 市は2年前、保健福祉総合計画で「配る」から「支える」福祉に方針を変え、「人生100年時代」に対応した仕組みづくりを目指した。医療・介護などの分野で、IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)の応用に挑むベンチャー企業を支援し、規制緩和によりネットを生かした遠隔服薬指導を始めている。

 一方で、80歳以上に1万〜3万円を支給した「敬老祝い金」を昨年度で廃止するなど、「痛み」を伴う給付見直しには反発の声も根強い。70歳以上に最大年1万2千円分の交通費を助成している「高齢者乗車券」は、市が昨年度、所得などに応じた一律給付ではなく、ボランティアなど地域活動に取り組むとポイントが与えられる制度に変更する検討経費を予算計上した。これに対し、市議会の共産が反発。市は「現在は廃止・削減といった検討はしていない」と釈明に追われた。

 小川全夫九州大名誉教授(社会老年学)は「市民は分配、給付に関心が高い」とした上で「自治体は、健康に幸せに暮らせる予算の使い方について、選択肢を目に見える形で示していく必要がある」と指摘する。

    ◇   ◇

 10年と15年の国勢調査を比較すると、市人口は約7万5千人増えたが、このうち働き手の中心となる生産年齢人口(15〜64歳)は約5千人にとどまり、高齢者が約6万人と8割を占めた。市は団塊の世代が一斉に65歳以上になったためとみている。福岡大の木下敏之教授(九州経済論)は「高齢者の就業を促さなければ、社会保障制度を維持できなくなる」と指摘する。

 市は本年度からシルバー人材センターなどを通じ、高齢者の民間雇用先を開拓しているが「企業が求める人材とミスマッチがある。具体的な成果は見えていない」(市高齢福祉課)のが現状だ。高齢者の起業セミナーも1回実施し、26人が参加したが、起業につながった人はいまだゼロ。木下教授は「特に文系シニアが働ける仕事が圧倒的に少ない」と課題を指摘し「官民が働き口の確保に知恵を絞るべきだ」としている。

      ■

 福岡市長選には3選を目指す現職の高島宗一郎市長(43)と、新人で共産党が推薦する市議団事務局長の神谷貴行氏(48)が立候補を表明している。










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