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賃貸物件、ネーミングの奥深い世界 “無限大”の組み合わせに込められた思いは

2018年10月21日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • マンションが林立する福岡都市圏=3月、福岡市博多区(本社ヘリから)

  • 資産活用に長年携わってきた牛島麻美さん

 その名前を意識するようになったのは、大学に入ってからだった。

 後期日程入試で滑り込み、あまり考える間もなく決めた都内の軽量鉄骨アパートの名前は「デアピルツ」。当初は気にとめていなかったが、夜勤のアルバイト先からもうろうと帰宅したある日、その表札にふと「何なんだろう」と疑問がわいた。

 英語の「dear」なのか。でもピルツって…と調べてみると答えは「Der Pilz」、ドイツ語で「キノコ」という意味だった。外観は至って普通のアパートだったが、自分はキノコに住んでいたのかと感慨深かった。

 以来、通りを歩くとマンションやアパートのエントランスに掲げられた建物名にしばしば目が行く。福岡市内でも、あらためて街を1時間ほど歩くと以下のような名前が次々に目に飛び込んできた。

 エレガンス/カステリア/ドリーム/ウイングメモリー/サンシャイン/ポラリス/グレイスフル/コモンズ/ラフィーネ/サンセーヌ/エバシオン/ヴエルデ/ファリーヌ/フォーブル/モーリス――。

 これらのネーミングはいつ、誰が、どう決めるのか。福岡都市圏を中心に展開し、福岡県内で最多(約3万3000戸)の賃貸物件を管理する三好不動産(福岡市)を訪ねた。

 「一生懸命こだわるオーナーさんもいれば、そこまでこだわっていない人もいらっしゃいます」。資産活用部門一筋で二十数年、同社で“レジェンド”とも称される資産活用課次長の牛島麻美さんが教えてくれた。

 新築の場合、計画段階で決まっているケースは少なく、入居者募集の直前に決まったり、二転三転したりすることも珍しくないという。

 定番は「片仮名+地名」。先述した片仮名も、いずれも地名が後に続く。そして肝心のワードのチョイスだが、「意味か響きで決める。中には完全な『造語』も」という。

 なるほど、どこを探しても本館が見当たらないのに「アネックス」と名が付いたマンションを見たことがあったが、その明るい響きで名付けられたのだろう。

 主流だった「●●荘」がその座を譲ったのは、「鉄筋の物件が増え始めた40年ほど前では」という。「オーナーの名字+『アパート』(あるいは『ビル』)」が多かったが、次第に「幸福」「素晴らしい」などのポジティブな意味の外国語が冠されるようになり、表現は多彩になっていった。今では「●●荘」のレトロさを、逆に新鮮ととらえる向きもある。


ホークスへの思いが込められた「サンホークス伊都」
福間慎一(ふくま・しんいち)<br />
福岡市生まれ、2001年入社。文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。1年間のヤフー出向を経て17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。









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