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外国人旅行客急増、だが…経済効果波及は道半ば 「観光公害」対処も必要<11・18福岡市長選>

2018年10月23日 03時00分 更新

記者:黒石規之



  • 高級クルーズ船から下りて観光に向かう欧米の観光客たち=19日、博多港

 今月中旬、福岡市中央区の住宅街のマンションに、大きなスーツケースを引いた韓国人の女性2人が笑いながら入っていった。

 近隣の60代女性によると、マンションの一室が1年ほど前から旅行者を一般住宅に泊める「民泊」として使われている。外国人客が頻繁に訪れ、深夜に酔っぱらって騒ぐ声が気になる時もある。女性は「見知らぬ人が出入りしていて不気味。マナーくらい守ってよ」と不快感をあらわにする。

 外国人旅行客の増加で「ホテル不足」が課題の福岡市は2016年12月、旅館業法に基づく「簡易宿所」を活用した民泊を条件付きで認める条例を施行。今年6月には住宅宿泊事業法(民泊新法)も導入され、住宅地やフロントなしでの営業が認められた。市内の部屋数は千を超えるが、許可を得ない「違法民泊」も依然として横行しているとみられ、ごみや騒音など市に寄せられる民泊関連の苦情は昨年度、169件に上り、前年度より倍近く増えた。

   ◇    ◇

 アジアの経済成長などで全国的に訪日外国人客が急増している。福岡空港でも国際線の新規就航や増便が相次ぎ、博多港は外国クルーズ船の寄港が年300回を超えて日本一に。17年に福岡空港と博多港から入国した外国人は約300万人に上り、5年前から4倍近くに増えた。

 天神や博多の街は韓国語や中国語が飛び交い、話題の飲食店には長い行列ができる。中国人客らが家電などを大量購入する「爆買い」は沈静化したものの、ドラッグストアなどは訪日客であふれている。

 ホテルの建設ラッシュも続き、天神の百貨店幹部は「国内の消費が伸び悩む中で、訪日客が売り上げを下支えしている」と明かす。

   ◇    ◇

 ただ、九州に寄港するクルーズ船は勢いに陰りが出ている。約9割を占める中国発着クルーズが競争激化による収益悪化で減少。博多港の今年1〜9月の寄港数は209回で前年同期より16%減った。

 博多港では市と国が約40億円を投じた岸壁の延伸が完成したばかり。世界最大級の客船の誘致が一つの狙いだったが、中国クルーズ市場の停滞でめどは立っていない。

 市は「脱中国依存」に向け、日本人や欧米人を対象としたクルーズ市場の開拓に着手している。9月には中国発着の客船を活用した日本人向けツアーを試行。8万〜16万円のツアーは完売したが、40万円のツアーは客が集まらず中止になるなど模索が続いている。

 そもそも急増した中国発着クルーズ船も、乗客の観光が中華系免税店での買い物が中心になるなど「地域経済への波及は限定的」(流通関係者)だ。

 交通、宿泊、買い物、飲食、自然・文化体験…。観光は産業としての裾野が広い。訪日客増加の恩恵を地域に幅広く浸透させる課題が山積する中、住民の生活環境や自然環境が悪化する「観光公害」という言葉も注目され始めた。

 「住んでよし、訪れてよし」の街づくりはまだ道半ばだ。










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