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相次ぐ記録的豪雨 少数にとどまった避難 危機意識どう高めるか<11・18福岡市長選>

2018年11月04日 03時00分 更新

記者:黒石規之


  • 7月6日の大雨で増水した福岡市西区の室見川

  • 天神周辺の地下に整備された巨大雨水管

 記録的な豪雨が西日本各地を襲った7月6日。福岡市・中洲を流れる博多川に濁流がうねりながら押し寄せていた。市内で観測した前日からの総雨量は計337ミリ。7月の1カ月分の平年値を2日間で上回る大雨で、博多川や室見川など市内4地点で氾濫危険水位を超えた。

 周辺河川の増水を受け、天神地下街(中央区)は各部門の責任者を集めて対応を協議。2007年に浸水防止計画を策定して以来、初めて出入り口に止水板を設置する準備を始めた。各店舗がそれぞれの判断で閉店を早めることができる自主営業にも切り替えた。

 幸いにも夜から河川の水位が下がり始めたが、天神地下街防災センターの下野章所長は「『もしかしたら』と最悪の事態が頭をよぎった」と差し迫った危機を感じていた。

   ◇    ◇   

 昨年の九州豪雨、今年の西日本豪雨。毎年のように多数の死者を出す記録的な豪雨が日本を襲っている。

 福岡市では1999年や2003年などに、大雨で市内各地に大規模な浸水被害が発生。市は、排水機能を強化する浸水対策事業に取り組んできた。都心では山王公園(博多区)の地下に雨水を貯留できる巨大な調整池を建設。博多駅や天神周辺の地下には直径3〜5メートルの巨大雨水管を計約6キロにわたって整備し、順次供用を始めている。

 本年度までの19年間で約1768億円を投じるハード整備で、「10年に1度の大雨」に対応できる態勢が整いつつある。7月の豪雨ではその効果もあって、目立った浸水被害はなかった。

   ◇    ◇   

 一方、7月の豪雨では危機意識への課題が浮き彫りとなった。市は、土砂災害への危険が高まったことから10地区の1551世帯(計3715人)に「避難指示」を発令。広報車や戸別訪問で避難を促したが、実際に避難所などに向かった人は少数にとどまったとみられる。

 避難指示は、危険が切迫していると市町村が判断した場合に出され、西区では斜面が崩壊して土砂が民家に迫る事態も起きていた。

 人間は危機に直面しても「自分は大丈夫」と思い込んでしまう「正常性バイアス」という心理が働くという。避難する人の割合の低さは全国的な課題だが、避難の遅れが生死を分けることも少なくない。市民の生命と財産を守るため、災害に強い都市をどうつくるのか−。危機意識を共有する仕組みや情報伝達のあり方を工夫するなど、従来の対応にとどまらない対策が求められている。










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