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0-2歳の小規模保育 「3歳の壁」苦しむ親 官民の試行錯誤続く<11・18福岡市長選>

2018年11月11日 03時00分 更新

記者:前田倫之


 「3歳以上を受け入れる保育所を探す『保活』をすぐに始めてください」。4月、まだ桜が舞い散る福岡市内の「小規模保育所」。経営者が入園間もない園児の保護者を集め、突然、転園希望届の説明を始めた。

 0〜2歳を預かる小規模保育所は、卒園後の受け皿となる認可保育所や幼稚園など「連携施設」を独自に確保する必要がある。この小規模保育所は幼稚園と連携するが、幼稚園は認可保育所より預かり時間が短く、働く親になじみにくい。

 福岡市では約130カ所ある小規模保育所の連携施設のうち幼稚園が約6割を占める。長女(2)が幼稚園とつながる別の小規模保育所を来春卒園する30代会社員女性は「背に腹は代えられず小規模に預けたが、やっぱり幼稚園では仕事が続けられない」と認可保育所のパンフレットをめくる。

 卒園後の預け先が見つからない「3歳の壁」−。福岡市の認可保育所も定員オーバーが常態化している。先ほどの経営者は「いずれ直面する現実を考えれば、幼稚園に通いながら保活を再開するよう指導するしかない」と話す。

   ◇    ◇

 定員6〜19人の小規模保育は2015年の子ども・子育て支援新制度に伴い新設された地域型保育事業の一つ。待機児童の多い0〜2歳の受け皿づくりが狙い。空き店舗などを活用し、少ない人員で運営できる。

 国は19年まで連携施設なしでも小規模保育所を認可する経過措置を設ける中、福岡市は15年度当初から連携施設の確保を認可条件にし、整備を進めてきた。

 市は15年度からの4年間で保育の新たな受け皿を約8千人分整備。このうち小規模保育が約1900人で約24%を占めた。施設数は60カ所から倍増している。

 今年4月の市の待機児童は、17年度の89人から40人まで半減。希望先を絞ったなどの理由で待機児童に数えられなかった「隠れ待機児童」は1471人と依然高い水準ながら、前年度より約340人減るなど、一定の成果を挙げている。

 だが待機児童40人のうち3歳は12人。1歳の21人に次ぐ多さだ。3歳の「隠れ」は255人で全体の約17%を占め、全国平均の約11%を上回っている。

   ◇    ◇

 「3歳の壁」を打ち崩そうと、現場も試行錯誤する。西区の小規模保育所「ひよこ保育園」は本年度、認可保育所を新設。3歳以降の子どもたちをそのまま引き継ぐだけでなく、他の小規模保育所からの受け入れも目指した。ところが、認可保育所は同園からの編入と新入園児だけで定員に。「保育士も施設の広さも足りず、簡単に定員を増やせなかった」と同園の浦真寿子園長。他の小規模保育所からの編入は諦めた。

 福岡市も対策に乗り出す。連携施設が認可保育所ではない小規模保育に通っている園児が、卒園後に認可保育所を希望すれば「生活保護世帯」や「育児休業明け」と同じ調整点を加点する制度を、来年度入園者を対象に始める予定だ。

 肝心の保育の受け皿確保についても、市は本年度も49億円を投じて約2千人分を新たに設ける方針。だが、そこには保育士の確保という課題も重なる。「3歳枠を増やせば、同じように4、5歳も増やさないといけない」。市子育て支援部の担当者の悩みは尽きない。

 経済、福祉、教育、街づくり…。拡大し続ける157万都市には多くの課題が横たわる。解決への模索が続く中、11月4日、新しい市のリーダーを決める論戦が始まる。 =おわり










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