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福岡空港防災対策、国と役割分担焦点 新運営会社、関空教訓に検討

2018年11月01日 03時00分 更新

記者:湯之前八州

 福岡空港の民営化に伴い11月1日からターミナルビルの運営を始める特別目的会社(SPC)「福岡国際空港」が、9月の台風21号で被災した関西空港の教訓を踏まえた防災対策を作成する検討を始めた。福岡空港と同じく運営権を民間が買い取るコンセッション方式で運営している関空では、台風で空港内に取り残された人の脱出や運航再開を巡って混乱。運営会社と国側の間で、災害復旧の責任が明確でないことが要因として指摘された。福岡空港の契約でも責任があいまいな部分があり、同社は国や関空の検証議論を防災対策づくりに活用する。

 関空は台風21号で、第1ターミナルやA滑走路、電気設備が浸水。流されたタンカーが衝突して連絡橋が破損した。空港は閉鎖され、利用客ら8千人が孤立。運営会社「関西エアポート」(関西エア)の対応は混乱し、政府や航空会社の関係者によると、取り残された人数の把握に手間取ったり、無理な機材繰りに基づく運航再開計画を示したりする事態が起きた。

 関空は2016年、コンセッション方式を全国の空港で初めて導入。施設や滑走路の所有権は、政府全額出資の「新関西国際空港会社」(新関空)が持つ。新関空と関西エアの災害復旧での責任の分担について、両社の契約は「新関空もしくは関西エアが機能を回復させる」とあいまいな規定になっている。

 国と福岡国際空港の契約も「国は、運営権者と対応方針を協議する」などと細部を明確にしていない。災害はケース・バイ・ケースで、事前想定が難しい面はあるが、同社の担当者も「はっきりしない部分はある」と認める。

 国土交通省は関空の台風災害を検証し、空港の防災対策を話し合う有識者の検討委員会を設置。11月末までに中間報告をし、年度内に結論をまとめる方針だ。新関空や関西エアも社内に検証のための作業部会を設置し、近く提言する。福岡国際空港はこうした議論を踏まえ、滑走路など空港全体の運営権が移る来年4月までに防災対策をまとめる。 

   ◇   ◇

災害時の責任不明確 国と運営会社 関空再開は官邸介入 

 関西空港の台風災害は、防潮堤の整備といったハード面の防災だけでなく、民間運営空港の災害対策という新たな課題を浮き彫りにした。施設を所有する「大家」である国と、テナント的な立場にある運営会社の責任をどう分担するか。識者は「これを機に詳細な検討を進めるべきだ」と指摘する。

 「エアラインのオペレーションの経験が多くないのかなと感じた」。日本航空の赤坂祐二社長は9月下旬の記者会見で、台風21号を巡る関西エアポート(関西エア)の対応に苦言を呈した。「指揮命令系統が複雑で、情報が錯(さく)綜(そう)した」「国土交通省と航空会社で報告内容が食い違っていた」…。複数の航空会社関係者は振り返る。

 「航空会社側に数時間おきに説明するなど、可能な限りの対応はした」と関西エア。「そもそも責任の範囲が明確でなかったことが、混乱の大きな要因だ」と国交省幹部は分析する。

 関西エアの対応にしびれを切らし、首相官邸が介入した。同社が「空路再開の見通しは立たない」と繰り返す中、安倍晋三首相は9月6日朝に突如、「国内線はあす中に、国際線も準備が整い次第再開する」と宣言。国内線は被災から3日後の9月7日、国際線は8日に一部再開し、21日には旅客便が通常に戻った。

 だが、国や自治体が口を出すのをできるだけ控えるのがコンセッション方式の理念。少なくとも初動は、運営の「現場」を担う関西エアに的確な対応が求められたはずだ。関空が被災したのは、自民党総裁選の直前。ある同党衆院議員は「官邸の介入は、3選を目指す首相の点数稼ぎの面もあった」と言う。

 福岡空港に加え、熊本や広島、北海道内7空港でも準備が進む民営化。空港の民営化に詳しい東京女子大の竹内健蔵教授は「関空の被災は、ビジネス以外の理由でコンセッション方式が直面した初めてのリスクだ。今後はこうした事態が起こり得ると考え、詳細に詰める必要がある」と指摘した。 










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