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静かに30周年を迎えた「荒津大橋」 必然が生んだ、福岡のランドマーク

2018年11月04日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 橋を支えるケーブル。橋の上は風が吹きつけ、少し怖いぐらいだった

  • 右奥に見える福岡のビル街を背景に、主塔の点検を行う作業員(今年1月、福岡北九州高速道路公社提供)

 しかし、最終的に選ばれたのは斜張橋だった。「『トラス橋ではドライバーに圧迫感を与える』という懸念から、スレンダーな斜張橋が選ばれたということです」。公社保全管理課の中野慶彦さんが教えてくれた。

 地元住民の方々の理解も得ながら工事は進んだ。そうして完成した橋は、主塔から天神側で100メートル余りの航路幅を確保。車やバスは空を飛ぶような感覚も味わいながら海上40メートルの地点を走り抜け、その脇には100メートルの高さに空色の主塔がすっと伸びている。

 荒津大橋がこの形になったのは、ある意味、必然的なものだった。

通行量は3倍、吹き付ける潮風

 特別な許可をいただき、公社の職員と荒津大橋に上った。行き交う車の風圧以上に、海から強い風がたたきつけてくる。当然ながらこの風は、鋼の“天敵”ともいえる塩分がしっかり含まれている。

 人間も30歳をすぎれば20代のような無茶ができなくなる。しかし荒津大橋は、開通当時1日約6万台だった通行量が、30年をへた今は3倍超の約19万台にまで増えた。しかも、橋は海の上。陸上の橋のように、高所作業車は使えない。

 そんな厳しい環境の中、公社は道路法が2016年に道路橋の定期点検(5年に1度)を義務づける前から、独自に要領を定めて5年に1度の点検を行ってきた。ケーブルは内部の状況まで把握できるカメラ付きの自走点検装置を使用。主塔はロープを使って、作業員が目視している。

 それでも、絶え間なく吹き付ける潮風の影響で、鋼製の構造物は徐々にさびが発生している。「そのまま放置しておくと鋼の肉厚が薄くなってしまうので、その前に塗装の塗り替えをするよう務めています」と同課の青野守さん。

 2007年には、主塔も塗り替えられている。腐食の早期発見と早期の手当で長寿命化を図る。これも私たち人間と同じだ。



海に面した街・福岡のランドマークと言っても過言ではない荒津大橋
夕暮れ時には、違った表情を見せる
トラス橋(参考)。もし荒津大橋がこの形だったら、風景はかなり違っていただろう
荒津大橋の真下で釣り糸を垂らす徳永利夫さん
荒津大橋の真下で釣れたクロ
福間慎一(ふくま・しんいち)<br />
福岡市生まれ、2001年入社。文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。1年間のヤフー出向を経て17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。









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