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静かに30周年を迎えた「荒津大橋」 必然が生んだ、福岡のランドマーク

2018年11月04日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 荒津大橋の真下で釣り糸を垂らす徳永利夫さん

  • 荒津大橋の真下で釣れたクロ

  • 福間慎一(ふくま・しんいち)
    福岡市生まれ、2001年入社。文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。1年間のヤフー出向を経て17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。

真下に広がるのどかな光景

 橋の真下は、那の津3丁目の岸壁がとんがったように突き出している。男性が数人、釣り糸を垂らしていた。

 昼下がり、タクシー運転手の徳永利夫さん(76)=福岡市博多区=はさびき釣りを楽しんでいた。12月中旬まで、アジが釣れるらしい。

 「小さいのは南蛮漬けにするっちゃけど、今頃のはもう手のひらぐらい太かね。それは開いて天ぷらにするとよ」。アジといえばフライと思っていたが、「脂がよう乗っとってね、天ぷらもおいしいとよ」。

 このあたりで釣りをしてもう25年になる。エンジン音がうなりを上げる橋の上に対して、こちらは静かな波の音。そして対岸の造船所から時折、コーンコーンと鋼材の大きな音がひびいてくる。

 博多漁港に出入りする船が、思ったよりも間近を横切ると、重油のにおいが漂い、その後で引き波が何度も押し寄せてくる。

 徳永さんはタクシー運転手。この日は休み。仕事で荒津大橋を通る機会は「ここ何年か増えてきたよ」と言う。「空港からヒルトン(福岡シーホークホテル)まで、外国人を乗せるんよ。わたしゃ国内線(で待機することが多い)やけん、商社勤めかなんかやろうか、欧米のビジネスマンが多いね」。

 隣で釣りをしていた別の男性の釣りざおがしなった。「クロ(メジナ)ですね」。この男性は退職後、横浜から移住してきたという。「えさの岩デコ(イシゴカイ)が30グラムで360円。これで1日遊べる。金のかからん趣味ですよ」と笑う。

 釣った魚は必ず長さを測り、15センチに満たなければリリースすることにしている。手作りのはかりに乗せられた魚は16センチほど。煮付けにしてもおいしいという。

 都市高速道路で双方向の環状線を持つのは首都高速道と福岡都市高速道だけ。その大動脈のシンボルでもある荒津大橋を、私たちは仕事で慌ただしく通ったり、「きれいやね」と眺めたり、その下でのんびり時間を過ごしたりしている。

 都市と海が織りなす“福岡的”な雰囲気。荒津大橋には、それが詰め込まれている気がする。


※<次ページ:荒津大橋の画像。30周年を記念し(?)特別にヘリからの動画も>

海に面した街・福岡のランドマークと言っても過言ではない荒津大橋
夕暮れ時には、違った表情を見せる
トラス橋(参考)。もし荒津大橋がこの形だったら、風景はかなり違っていただろう
橋を支えるケーブル。橋の上は風が吹きつけ、少し怖いぐらいだった
右奥に見える福岡のビル街を背景に、主塔の点検を行う作業員(今年1月、福岡北九州高速道路公社提供)









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