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海外から届いた「醤油48本買いたい」 進歩するネットと通販の可能性 醤油屋今日談(24)

2018年11月30日 03時00分 更新

記者:川崎弘氏


  • かなりアナログなわが社のパソコン。フリーズすることも多いが、まだまだ現役

  • 川崎弘(かわさき・ひろし)氏
    1980年、佐賀市生まれ。2003〜17年、西日本新聞の記者として事件、経済分野などの取材・執筆を手掛ける。17年10月、妻の実家である大分県日田市の醤油・味噌製造会社「まるはら」に転職。14年ぶりに新入社員に。ロック、カレー、日本酒好き。



 インターネットは便利な道具だと思うが、「ICTは社会を変える」と言われると大袈裟な感じがして、あまり好きではない。実際そうなのだろうけど、PCに興味がある方ではないし、インターネットによって失われるものもある(例えば、身近な人とのつながり、子どもの視力…)と思うからだ。

 とはいえ、やっぱりネットってすごいなぁと感じる出来事があった。

 会社に英文のメールが届いたのは10月末。日本を旅行中、免税店でうちの醤油を買ったという韓国の方の家族からだった。「うちの父が醤油をとても気に入ったので、韓国で買えるところはないか」との問い合わせだった。

 なんともありがたい反響だが、残念なことに輸出はしてない商品。ダメ元で貿易会社に問い合わせてみたが、一個人のために販路を開くのは難しい、との回答だった。

 さてどうするか。ネットで調べてみると、海外への通販というやり方もあると分かった。郵便局のEMS(国際スピード郵便)を使えば、ソウルまで通常2日ほどで届くらしい。問題は、お金の決済だ。銀行に問い合わせたところ、世界の金融機関ごとに割り振られている「スウィフトコード」、口座番号、そして商品の代金などを先方に伝えて送金してもらえれば、受け取りができるという。

 さらに決済は円建てか、相手国の通貨か決めないといけないので多少複雑だが、不可能ではなさそうだ。お客さまにメールでその旨を伝えると、すぐに2箱(48本)を注文したいとの返事が届いた。

 とんとん拍子で進む商談。もしかすると、日本に来た外国人観光客の中には、気に入った商品を帰国後も買いたいという声が他にもあるのでは――、などと妄想を膨らませていたが、すぐに打ち砕かれた。

 代金を弾いてみると、送料と送金手数料が商品代の1・5倍ほどになるのだ。

 あらためて送料などを含んだ金額をメールで伝えると、一旦は「OK」との返信が来たが、10分ほどたって「金額が高すぎるので、やっぱり次に日本に行く時に買いたい」とのメールが届いた。売る立場からすると残念だが、もし僕が買う立場であれば、同じ判断をするだろう。

 ちなみに、ここまでのやりとりはすべてメール。google翻訳を使いながらではあるが、見ず知らずの海外の人とも、決済方法や商品の送り方など小難しい内容のやり取りを可能にしてくれる道具が目の前にあるのかと、あらためて感心した。

 今回は不成立に終わったものの、ネックとなった国際送金の手数料は、電子マネーや仮想通貨を使えば、安くできる余地がありそうだ。

 わが社はまだ導入してないが、来年10月の消費税増税時に、キャッシュレス決済に5%分のポイントを還元するという政府の施策もあり、導入するのも一つの手かなと思う(事務処理が煩雑になりそうで悩ましいが・・・)。

 無料通信アプリのLINEが銀行業への参入を発表したり、国内銀行が連携してスマホ決済の導入に乗り出したりと、金融業界の動きは騒がしくなっている。現金志向が強いと言われる日本で、キャッシュレス決済がどこまで広がるかは予想がつかないが、やはりこれもICTの進歩の一環だろう。
 
 便利だけどめんどくさくもあり、めんどくさいけど便利でもあるインターネット。いずれにせよ、変化や進化に対応をしていかないと取り残されることだけは確かなようだ。










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