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天神ど真ん中「ビスタポイント」の謎 ひっそり埋まった、直径15センチ

2018年12月02日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • ビスタポイント。これはなんだろう

  • 市役所西側ふれあい広場の正面にあるビスタポイント。現職の市職員もほとんどその存在を知らないようだ

 一日に1万人以上、休日には1万5千人もの人が歩く福岡市・天神の市役所前。その歩道上に、ほとんど見向きもされない、なんとも不思議なものが埋められている。一見マンホールのようだが、下水道でもNTTでも西部ガスでも九州電力でもない。

 直径は15センチ、真ちゅう製とみられる。何かのふた状のものに刻まれているのは<VISTA POINT>、そして日本語で<ビスタポイント>の文字。そして人さし指で指し示す手の形。そして見覚えのあるシルエット――これは地元住民ならピンと来る。福岡市の輪郭だ。

 指さす先には市役所の本庁舎がある。この「ビスタポイント」があるのは西側広場の真正面の一つと、そして市役所北側の歩道に車道を挟んだ二つ。南の博多大丸側や、東の中央公園側にはない。

 こ、これは何なんだ。

 市役所を訪ねた。市庁舎の管理を担う財産管理課は「まったく知らなかった」。関係部署に尋ねてくれたが、「分からない」。ただ、「設置したのは市で間違いないのでは」という。

 VISTAとはイタリア語で「展望、眺望」といった意味。「VISTA POINT」つまり「展望地点」、そして指し示す先にある市役所――。

 先日、ひっそり30周年を迎えた荒津大橋について書いたが(※リンク貼ります)、実はこの市庁舎も今年7月にひっそりと落成から30周年を迎えていた。当時は白亜の外観が注目を集めた。その自分を指して「左斜め45度の、ここが一番よか見栄えですばい」とでも言っていたのか。なんとナルシストな(冗談です)庁舎だ。

 何しろ30年前の話なので、資料がない。市の公文書管理規則で保存期間を「永年」と定めているのは「市政の運営に係る基本方針の決定」など極めて重要なものに限られる。誰も気に留めないビスタポイントに関する文書が、これに該当するとは思えない。

 市役所周囲の歩道を整備したのは中央区役所。地域整備課によると、その工事期間が1991年9月26日〜92年5月20日だったという記録が残っていた。その間にビスタポイントが埋められたのだろうが、確証がない。

 「『福博プロムナード』と関係があるかも」。いつも助言をいただく、郷土史研究家の益田啓一郎さんはそう考える。実はこのビスタポイントも、前々から気になっていたという益田さんとの雑談の中から「あれは何なのでしょうね」と呈されたクエスチョンだったのだ。

 福博プロムナード、この名前を知っている人ももう少ないかもしれない。正直に言うと、私も知らなかった。天神コア横の細い路地から市役所北側→天神中央公園→福博であい橋→冷泉公園に至るルートを遊歩道に整備する取り組みで、福岡都心の景観整備が進んだ80年代後半〜90年代初めに、県と市が連携して進めた。

 ということで県の公園街路課に尋ね、県庁地下の書庫まで探してもらったが、「分かりませんね…」。ここにも手がかりはなし。設置者が誰なのかさえ分からないのか…。

 と、問い合わせていた中央区の地域整備課から連絡があった。なんと資料があったという。


1989年2月、旧市庁舎の解体工事を終えて空き地になった当時の福岡市役所西側。この後、写真左側の歩道整備でビスタポイントが埋設された
中央区役所に保管されているマイクロフィルムにあった「ビスタポイント」の図面。右上に例のマークが記されている
福間慎一(ふくま・しんいち)<br />
福岡市生まれ、2001年入社。文化部、長崎総局、本社報道センターなどで記者。1年間のヤフー出向を経て17年9月からqBiz編集長。特技は居酒屋のメニューを指1本でくるくる回すこと。









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