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qBiz 西日本新聞経済電子版

活性化しない「中心市街地」に不要なものと足りないもの まちビジネス事業家・木下斉さん

2018年12月06日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 「身銭を切って本気にならないとまちづくりは成功しない」と話す木下さんは東京都出身。熊本市で10年前に「熊本城東マネジメント株式会社」を設立するなど全国各地で地域再生ビジネスを手掛けている。

  • リーマン・ショックで主要製造業の工場が閉鎖した鹿児島県出水市中心部の商店街では、10年後の現在もシャッターを下ろした店舗が目立つ

 「地域活性化」「地域再生」。記者自身、新聞社に入社して以来、何十回、いや何百回この言葉に触れただろう。人口減少が進む九州のほとんどの市町村が重要な施策として掲げているこのテーマだが、それを達成したところは多くはない。何が足りないのだろうか。

 高校生のころから街の商店会の活動に参加して起業、その後大学在学中から今に至るまで全国各地で「地域づくり」に向き合ってきた、まちビジネス事業家の木下斉さん(36)が新著を発表した。<凡人のための地域再生入門>という小説だ。

 20年間にわたる失敗と成功の現場から得た事例を「分かりやすく伝えるにはロジックではなく、ストーリーの方がいいと思った」という木下さん。9月にqBizが主催したイベント「地方最強都市・福岡で考える『九州バカ』論」でも忖度なし、遠慮なしのトークを繰り広げた通称「狂犬」に、あらためて聞いた。

 「地域活性化」って何ですか――。

「麻薬」頼みで失われる経済の原理

 ―小説の舞台は「東京から新幹線で1時間、さらに在来線で20分、人口5万人ほどの地方都市」。この立地が示す意味は?

 日本全国、どこにでもある街。「栄えたことがない」というほどではないけど、今は通過されるだけ――そんな衰退している街を想定しました。言い方は悪いけど、中途半端で住民の愛着もそれほどない、というような街はかなり多い。課題を抱える地域の標準地をつくってみました。

 ―「中途半端な街」が抱える問題は。

 中途半端に都市化しているので、ただ人がいないだけの建物と道路の集まり。観光も期待できない。そこでやっていくには、何か事業を仕掛けるしかない。そう考えて取り組む人はいますが、役所とけんかしたり、他の人の批判にさらされたりしています。

 ―書中では、「公務員」が悪役になっている。

 衰退する地域で根深いのは、自治体が「最大の事業者」になってしまっていること。出入りする最大のお金は、「権利」と「制度」に頼った「税金」と「年金」。そこでは喜ばれるモノやサービスを提供するという経済の原理が失われます。こうなると、出口はなかなか見えにくい。

 ―「地域活性化」といえば補助金。その存在を常に否定的にとらえている理由をあらためて。

 いつも「補助金は『麻薬』だ」と言っています。なぜ麻薬かというと、使い続けないといけなくなるから。新規事業や創業でも「もらえるものはもらっておけ」と補助金に頼りがちです。でもそれで本当に助かるのか。お金は本来「使って(出資者に〕リターンする」のが目的ですが、「きちんと使う」ことだけが目的の補助金に頼ると、役所に口を出され、細かい報告を求められ疲弊します。民間の事業とは本来、自治体予算のかさに入らず、少しでも外から稼ぐことが大切なのに、補助金頼みを続けてきた結果が、今の地方の実態ではないでしょうか。

 ―書中でインパクトが強かった言葉は「まち衰退の起爆剤」という言葉だった。

 1998年に中心市街地活性化法が施行されて20年になります。で、まだ活性化していないのに、誰も「”中心市街地活性化”って違うんじゃない?」という疑問をもたない。

 ―街の中心部がにぎわうというのは、悪いことではない。

 総論に反対する人はいません。中心市街地活性化という発想を「潰せ」という人はいないでしょう。ただ、中心部とはどういうところかというと、「ストック(建物や公共インフラ)が多いところ」。それさえなくなった所を「中心」というのは単なるノスタルジーでしかなくなります。

「よそ者」「若者」「ばか者」論の間違い 

 ―本来、行政がやるべきことはどういうことなのか。

 大きな制度変更のような「100年の計」はもちろん役所がやるべきです。でも、逆になってはいないでしょうか。観光客増加とか、ゆるキャラとか、1年、3年で成果が出そうなことばかりやっている。それは民間でもできます。

 ―では、衰退する地域には具体的に何が必要だと考えるか。ストックが残っている場所を再び活発な場所にするために効果のある取り組みとは。

木下さんの新著「凡人のための地域再生入門」。ツイッターでは「#地元がヤバい本」で意見が飛び交っている









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