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改正入管法、外国人就労の大転換 与党、委員会採決強行 野党は問責案で抵抗

2018年12月08日 03時00分 更新


  • 参院法務委で入管難民法などの改正案の採決の際、横山信一委員長(中央)に詰め寄る野党議員ら=8日午前0時22分


 外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案は8日未明にも、参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立する。野党は7日、採決阻止を狙って山下貴司法相、安倍晋三首相の問責決議案を相次いで提出したが、与党が同日夜の参院本会議でそれぞれ否決した。与党は8日未明の参院法務委員会で改正案の採決を強行、可決した。その後の本会議で成立させる方針。

 改正法が成立すれば高度な専門人材に限っていた外国人の受け入れ政策を転換し、単純労働分野への就労が可能となる。政府は5年間で14業種約34万人とする受け入れ見込み人数を示しており、日本社会が大きく変容する可能性がある。

 参院法務委の横山信一委員長(公明党)は6日午後、採決を提案し、野党が委員長解任決議案を提出。与党は7日午前の本会議で否決した。与党は水産関連改革法案に関連して野党が出した堂故茂参院農林水産委員長(自民党)の解任決議案も否決した。その際、自民党の大家敏志氏が本会議場で野党議員に暴言を吐くなどしたとして紛糾。自民党が野党側に謝罪し、大家氏が議院運営委員会理事を辞任した。

 立憲民主党の蓮舫氏は首相の問責決議案の趣旨説明で「国家の根幹に関わる重要法案を次々と短い審議で強行採決したことを猛省すべきだ」と批判した。

 与党は衆院法務委で審議時間がわずか17時間で採決を強行し、衆院を通過させた。大島理森衆院議長は「審議が不十分」と猛反発する野党に対し、来年4月の法施行前に政府から政省令を含む全体像を国会に報告させるとした裁定案を提示。首相は6日の参院法務委で「重く受け止め、国会に制度の全容を示したい」と答弁している。

 改正案は一定技能が必要な業務に就く「特定技能1号」と熟練技能が必要な業務に就く「同2号」の二つの在留資格を新設。1号は在留期間が通算5年で家族帯同を認めない。2号は期限の更新ができ、家族帯同が可能だ。法務省入国管理局は改組し、「出入国在留管理庁」を設ける。

   ◇   ◇

「ご都合主義」許されない 西日本新聞東京支社報道部長、植田祐一

 安価な労働力を確保したいが、コストのかかる定住はさせたくない−。そんなご都合主義はもう限界だ。技能実習生や留学生アルバイト頼みではなく、単純労働を含む分野にきちんと就労目的の在留資格を設け、外国人労働者の永住に新たな道を開く。それが入管難民法改正案の趣旨だったはずだ。

 ところが安倍晋三首相の説明は違った。「これは移民政策ではない」と予防線を張り、「労働開国」の意義と決意を語らなかった。外国人の人権保障や共生社会実現に向けた課題を遠ざけ、これまでの延長線で人手不足が補えるかのような印象を与え続けた。

 そんな「いいとこ取り」はあり得ない。法務省は国会答弁で「在留外国人に対しても憲法が定める基本的人権は保障される」と明言した。外国人が安心して働き、暮らせる仕組みづくりに手抜きは許されない。

 国会審議では、技能実習生の過酷な労働実態が明るみに出た。政府は新設する出入国在留管理庁を「司令塔」に、低賃金や長時間労働などを含めた人権侵害を監視させるというが、これは違うのではないか。

 同庁は本来、不法滞在の外国人に目を光らせる組織だ。原発政策では利用と規制という相反する役割を経済産業省が担い、重大事故を防げなかった。この教訓はどこに行ったのか。外国人の立場の弱さに寄り添った制度設計なのか。

 今国会は野党が政府の「失点」を突き、改正案の是非がクローズアップされた。ただ、外国人には投票権もなければ政治献金もできない。政治の関心が長続きするかは分からない。

 私たちも技能実習生を巡る深刻な人権侵害が、今になるまで埋もれていた事実を重く受け止めなければならない。これまでもこれからも、外国人を苦境に追いやるのは日本社会全体の無関心なのだ。

 入管難民法 日本への出入国に関する手続き、外国人の在留資格や退去強制制度、難民認定の手続きなどを定めた法律。日本が難民条約に加盟したのに伴い、1982年に「出入国管理令」から現在の名称に変更された。在留資格は現在、外交や公用、高度専門職、興行など36種類あり、今回の改正では「特定技能1号」と「同2号」を新設する。人手不足を補うため、外国人労働者の増加を図るのが目的。来年4月施行で、施行から2年後に見直しを検討する。









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