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共生への具体策は見えず 入管法改正

2018年12月08日 03時00分 更新



 新たな在留資格「特定技能」を盛り込んだ入管難民法改正案が成立するのを受け、政府は年内にも受け入れに関する基本方針を定め、分野ごとの運用方針を策定する。技能試験や向こう5年間の見込み数など、制度の詳細を明確化できるかが焦点だ。国会審議では、外国人労働者が都市圏に集中することへの懸念や社会保障の在り方といった新たな課題も浮上した。安倍晋三首相は「施行前に制度の全容を示す」としているが、年内に取りまとめる外国人との「共生策」さえも、具体策は見えてこない。 (古川幸太郎、森井徹)

   ◇   ◇

<賃金格差>大都市圏集中を懸念

 政府は介護や農業など計14業種で最大34万人の受け入れを見込む。

 だが、受け入れる外国人が給料の高い大都市圏に集中し、地方の人手不足が解消されないとの懸念が出ている。最低賃金は、最も高い東京と最も低い鹿児島では224円の差がある。

 山下貴司法相は「地域の実情に応じ、特区が活用できないか、分野別運用方針を検討する中で関係省庁と協議したい」と述べた。

 特定技能1号は、技能実習で認められなかった転職が可能となる。移動が基本的には自由になるため、地域を限定する特区の運用が念頭にあるとみられる。

 ただ、都道府県別に、分野ごとの労働需給を測る公的指標はほとんどなく、より高い賃金を求める外国人労働者を、地方に“誘導”できるのかは不透明だ。

   ◇   ◇

<環境整備>実態は自治体任せに

 受け入れ環境の整備には、自治体や地域の支援も不可欠となる。

 政府は近く、外国人との共生を目指す「総合的対応策」を策定する。自治体の相談窓口一元化▽日本語学校の質の向上▽災害時の外国人支援コーディネーターの養成−などが盛り込まれる。

 だが、実態は自治体任せとなり、国の役割は支援にとどまる見通しだ。ノウハウや財政負担の面から不安を抱える自治体も少なくなく、国の責任を明確にする法制度を求める声もあるが、政府は応じていない。

 政府は日本語教室の空白地域の解消などを掲げている。現状では地域の指導はボランティアに頼り、学校現場の教員確保も不安定な状態となっているケースが多く、言語が多様化すればより難しくなる。

 一方、超党派の議員連盟は、国と自治体の責任で日本語教育に取り組む法案をまとめ、来年の通常国会での提出を目指している。

   ◇   ◇

<社会保障>医療費不公平指摘も

 医療保険など社会保障の在り方も対策が必要だ。

 国民皆保険制度は外国人にも適用され、勤務先の健康保険(大企業は健康保険組合、中小企業は協会けんぽ)に入ると原則自己負担3割で医療機関を受診できる。日本に居住していない扶養親族は国内と海外いずれの医療機関を受診しても1〜3割の自己負担で済む。扶養親族が増えれば社会保障費も増大するとの懸念から、国会ではこの点が問題視された。

 政府は、国籍による差別を避けるため、保険適用の範囲を「国内居住者」に狭めることで、外国人労働者の扶養親族の医療費負担を抑制したい考え。ただ、特定技能1号の外国人には家族帯同を認めておらず、本人しか社会保障サービスを受けられない。家族で国内に住む日本人と比べて不公平だと指摘する声もある。

 他人の健康保険証を使う「なりすまし受診」の防止対策も検討を進める。










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