ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

元記者ピロシの醤油屋今日談

一覧ページへ

サブちゃんデビュー。かみしめる「商売は信用第一」 醤油屋今日談(25)

2018年12月14日 03時00分 更新

記者:川崎弘氏


  • サブちゃんデビュー2日目の私。この日は終日雨で、商品を濡らさないようにするのが大変でした

  • 川崎弘(かわさき・ひろし)氏
    1980年、佐賀市生まれ。2003〜17年、西日本新聞の記者として事件、経済分野などの取材・執筆を手掛ける。17年10月、妻の実家である大分県日田市の醤油・味噌製造会社「まるはら」に転職。14年ぶりに新入社員に。ロック、カレー、日本酒好き。



 小所帯のわが社では珍しいことだが、12月10日に工場から営業に異動になった。

 昨年秋に入社したとき、「工場、営業、事務を1年ずつ」と言われていたので、おおむね予定通り。とはいえ、製造現場の作業で覚えられたのはほんの一部に過ぎない。一人前には程遠いが、会社を全般的に知る必要があるということなのだろう。

 新しい仕事は、お客さまの所をトラックで回り、商品をお届けすること。朝から夕方まで個人のお宅、お店、飲食店などを一軒一軒訪ねて回る。まさに、サザエさんに出てくる「三河屋のサブちゃん」である。

 まだ先輩の後ろを2日ついて回っただけだが、すでに何度も目から鱗がボトボト落ちた。

 まず、お客さま先を訪ねる時に、裏口や勝手口から入ることだ。表玄関から入ることもあるが、お店では、業者用の入り口から入り、バックヤードを通って売り場に到着。自社の商品が置かれている棚の在庫を確認する。

 お店によっては、商品の補充や値札張りまで営業マンが行い、補充した醤油の本数でさえ、事後報告で良い場合もある。これまで、スーパーや商店で商品を並べるのは従業員さんの仕事だと思っていたが、常にそうとは限らないらしい。「関係者以外 立入禁止」の向こう側に、ここまで「顔パス」が効く世界が広がっているのかと面食らった。

 お客さまのお名前や訪問ルートなど覚えなくてはいけないことは多いが、それ以上に「台車がドアに当たらないように」「このへんではエンジンを吹かさない」「このお宅では車を少し遠くに止める」――と、配達先ごとに千差万別の注意事項があることにも驚いた。これまでの業務の中で少しずつ増えてきたのだだろうが、慣れるには少し時間がかかりそうだ。

 先輩の頭には、そういったお客さまの要望や注意事項がインプットされていて、スイスイと仕事をこなしていく。だが現段階では、自分が同じように動く姿が全くイメージできない。どんな仕事も初めはだいたいそうだが、不安になるのが正直なところ。

 一方、トラックに手を振ってくれたり、玄関先で栄養ドリンクを持たせてくれたりと、お客さまに励まされることも、すでにちらほら。なにはともあれ、顔を覚えてもらえないと仕事にならないことは、2日間でよく分かった。

 高額な商品ではないにせよ、お金を扱う以上、信用がないと商売は成り立たない。幸か不幸か、これまでお金に直に触れる業務をしたことがほぼないので、肌で実感するのは今回が初めてかもしれない。

 勝手口から声をかけたり、店頭で在庫を補充したりといった作業も、見ず知らずの人にはご法度だ。その分、責任もある。間違いを犯さないように、仕事への誇りも必要だ。

 言い尽くされた言葉ではあるが、「信用第一」ってその通りだなぁ、と新人営業マンはその意味をしみじみとかみしめている。










コラム 寄稿コラムの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事