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「ギターの神様」がさらけ出す人間の弱さ

2018年12月23日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • エリック・クラプトンの半生を綴るドキュメンタリー映画「エリック・クラプトン〜12小節の人生〜」のパンフレット

  • クラプトンが11月発表した24作目のスタジオアルバム「ハッピー・クリスマス」。ジャケットのスケッチも本人自ら制作した

 福岡の洋楽ロックファンには特別な年の瀬になるだろう。世界的なロックギタリスト、エリック・クラプトンの半生を綴(つづ)る「エリック・クラプトン〜12小節の人生〜」と、英ロックバンド「クイーン」の軌跡を描く「ボヘミアン・ラプソディ」。日本でも大人気のアーティストに焦点を当てた伝記映画がともに公開されたからだ。

 とりわけ注目したのは「12小節〜」。クラプトンは1945年、英国生まれ。60年代からヤードバーズやクリーム、デレク&ザ・ドミノスなどのバンドを経て、74年から本格的にソロ活動を始めた。グラミー賞を18回も受賞、バンド時代を含め3度のロック殿堂入りを果たし、押しも押されもしないスーパースターだ。今年11月には24作目となるスタジオアルバムをリリース。73歳になった今もバリバリの現役なのである。

 源流にある音楽は、黒人解放の歴史から生まれたブルース。先人の演奏を一途に探究し、独学で習得したギター奏法と、ブルース音階のメロディアスなアレンジ、アンプ出力のひずみを生かした迫力あるサウンドは、ロック界に多大な影響を与えた。シンガー・ソングライターとしての才能も抜群。「ギターの神様」と崇(あが)められ、ジミー・ペイジやジェフ・ベックと並び「世界3大ギタリスト」に挙げられる。そんなクラプトンにあこがれてエレキギターを始め、ブルース色の濃い音楽を好んで聴くようになった人たちは、私も含めて世界中にごまんといる。

 映画はドキュメンタリー形式。ロック界で早くに注目され、バンドやソロ活動で名曲、名盤、名演奏を生み出して成功する輝かしい軌跡をたどる半面、名声の裏にある「影」の側面も紹介している。実の母親に親子関係を拒絶された少年期、奔放すぎる女性遍歴、ジミ・ヘンドリックスら盟友との死別、薬物やアルコールによる現実逃避、そして4歳だった愛息コナーの事故死…。関係者の証言や秘蔵フィルムも交え、その波瀾(はらん)万丈ぶりを赤裸々に伝える。薬物やアルコールにおぼれた当時の生々しい映像もあり、映倫区分は「小学生には保護者の助言・指導が必要」という「PG12」に指定されている。

木村貴之(きむら・たかゆき)<br />
1994年から西日本新聞記者。趣味は釣りとエレキギターの手入れ。好きな映画は「椿三十郎」「八つ墓村」「ナチョ・リブレ」。音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛しつづけて」、寺井尚子「ジャズ・ワルツ」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」









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