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農林業担い手育成へ国際専門校 九州定住、海外販路狙う 大分県内に来年にも アジア出身者ら対象

2019年01月06日 03時00分 更新

記者:吉田真紀




  • 大根の収穫作業に励む外国人技能実習生。全国で2万人以上が日本の農業を支えるが、人手不足は深刻だ=2017年2月、長崎県島原市

 政府が外国人労働者の受け入れ拡大を図る中、アジア出身の留学生らを人手不足にあえぐ農林業の担い手に育成する専門学校「アジアグローカルビジネスカレッジ」(仮称)の設立計画が大分県内で進んでいることが分かった。2020年にも開校予定。若者の就業・地元定住を促し、国際ビジネスの創造や海外販路の拡大も狙う。こうした農林業の国際専門学校は全国的に珍しい。

 昨年11月に発足した設立準備委員会は、九州の農林事業者、学校法人、企業、大学教授、中国の貿易業者らで構成。大分県内の空き校舎を活用し、九州の若者のほか、今後提携するアジアなど10カ国の農業高校の卒業生らに呼び掛ける。総定員は180人、半数程度は留学生を想定している。

 計画では「グローカル学科」に(1)スペシャリストコース(2)マネジメントコース(3)ビジネス創造コース−を設置。(1)ではコメやユズなど休閑地を活用した九州の特産農作物の栽培や無人の農林業ロボットの操作、(2)では農林業法人の経営ノウハウを学ぶ。(3)は農作物を海外に販売できる人材の育成を目指し、中国・上海やシンガポールなどのバイヤーとウェブ上で交渉する実践的な授業をする。留学生はコース選択の前に1年半〜2年、日本語学科で日本語や商用英語などを学ぶ。

 卒業生の進路は、農林業法人への就職のほか、耕作放棄地や高齢化した農家の田畑を活用した農林業法人の設立、地元農産品を留学生の母国向けにネット通販する貿易業の起業などを想定。韓国・大邱市の永進専門大や中国・四川省の四川農業大との提携が内定、交換留学も行いたいという。

 農林水産省によると、15年の九州の農業就業人口は32万7624人で、1990年の4割ほどに減少。このうち30歳未満は9747人と、90年の2割以下に落ち込んでいる。

 一方、厚生労働省によると、農業に従事する外国人技能実習生は2万4039人(17年10月末現在)。改正入管難民法に基づき、政府はさらに農業分野の外国人労働者の受け入れを拡大する方針。専門学校は新設される在留資格にも対応する授業を目指す。設立準備委の関係者は「卒業生の8割に、九州の農林業に定着してもらうのが目標」としている。

   ◇   ◇

農林業のプロ育成目指す 九州農業けん引期待

 日本の農業現場が高齢化や人手不足に陥る中、政府は外国人労働力の受け入れに前のめりになっている。大分県内で2020年の開校を計画する国際専門学校「アジアグローカルビジネスカレッジ」(仮称)は、単に人手不足解消という狙いだけでなく、海外販路開拓も含め、「農業王国」九州をリードする人材の育成も目指している。

 農林水産省によると、九州各県の農業就業人口(2015年)は、福岡5万6950人(1990年比58・8%減)▽佐賀2万6244人(同63・7%減)▽長崎3万4440人(同57・2%減)▽熊本7万1900人(同54・5%減)▽大分3万5208人(同60・6%減)−と、大幅に減っている。後継者確保に悩む農家も多い。

 外国人受け入れ拡大に向け、政府が昨年12月25日に閣議決定した分野別運用方針は、農業分野では「雇用就農者数が現時点で約7万人不足」し、「基幹的農業従事者の68%が65歳以上」といった課題を明記した。

 4月に創設される新たな在留資格のうち「特定技能1号」では農業分野で最大3万6500人を受け入れる方針だが、在留期間は通算5年。家族帯同が認められ、在留期限を更新できる「技能2号」は「農業分野では、現時点で導入予定はない」(法務省入国管理局)という。

 アジアグローカルビジネスカレッジは留学生の卒業後の進路として、九州の耕作放棄地を利用した農林業法人や、農産物の海外販売を手掛ける貿易法人の起業など、より専門性の高い「農林業のプロ」を想定。在留期限を更新できる在留資格「経営・管理」などを取得してもらう。

 設立準備委員会の関係者は「長期間にわたり九州の農業を引っ張るような高度人材の育成につなげたい。母国に戻り、活躍するグローバルな人材も送り出したい」としている。










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