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開場20年「博多座」の歌舞伎ファン開拓に注目

2019年01月06日 03時00分 更新

記者:木村貴之


  • 博多座のロビーに展示された松本幸四郎の等身大フィギュア。「伊達の十役」の登場人物ではないが、古典歌舞伎ならではの華やかな姿で公演を盛り上げた=昨年6月、福岡市(撮影・木村貴之)

  • 松本幸四郎改め二代目白鸚と市川染五郎改め十代目幸四郎の襲名披露公演となる「六月博多座大歌舞伎」があった博多座=昨年6月

  • 新作歌舞伎「あらしのよるに」の公演終了後、中村獅童と尾上松也の等身大パネルに囲まれ、記念撮影を楽しむ家族連れ=昨年11月

 福岡市博多区に演劇専門劇場「博多座」が登場して今年で20年。新年からその動向が気になっている。というのも昨年ここで歌舞伎を見た興奮が忘れられないからだ。歌舞伎界を力強く支える松本幸四郎や中村獅童らの公演を観劇。しかも年に2度も。料金は少し高めだが歌舞伎の醍醐味を存分に味わえた。

 博多座の開場は1999年6月。中洲北側の下川端地区の再開発で建設された複合施設「博多リバレイン」で、福岡アジア美術館やホテルオークラ福岡などと並ぶ中核施設として誕生した。劇場は3階席構造で、最大約1500席。回り舞台や花道、せり、すっぽんなどの装置が整い、九州最大規模を誇る。

 そんな大箱で最初に見た演目は、幸四郎主演の「伊達の十役」。父の先代幸四郎改め白鸚と市川染五郎改め十代目幸四郎の襲名披露公演「六月博多座大歌舞伎」の昼の部で6月に上演された。題材は江戸前期に伊達氏の仙台藩で起きたお家騒動。江戸後期、七代目市川團十郎が主要登場人物10人を一人で演じて大評判を呼び、1979年には三代目市川猿之助(現猿翁)による165年ぶりの復活上演で話題になった古典歌舞伎である。

 古典とはいえ舞台は終始、興奮の連続だった。幸四郎が演じるのは男女10人の善悪両玉。これを目にも止まらぬ早技で姿を替え、演じ分けるのだ。隈取りを施した荒くれ者や正義感あふれる大名、妖艶な女形…。多彩なキャラクターになりきる演技力も光るが、その早替わりは引田天功も驚きそうなイリュージョンである。さらにスーパー歌舞伎の創始者・猿翁譲りの宙乗り(役者の体を宙づりにして舞台や客席の上を移動する演出)まで披露し、私は思わず膝をたたき「これぞエンターテインメント!」とうなってしまった。

 2度目は獅童と尾上松也W主演で11月上演の「あらしのよるに」。オオカミとヤギの友情を描いた絵本を基に創作された新作歌舞伎だ。オオカミの獅童とヤギの松也。相容れない者同士の友情、生きる喜びという原作テーマを生かし、練りに練った脚本・演出の歌舞伎に仕立てた。主役2人が舞台から降りて客席を回ったり、囃子方と絡んだり、やりたい放題にも映るが、観客をとことん楽しませようとする思いが伝わり、私は再び膝をたたいた―。

歌舞伎観劇は休憩時間も楽しみの一つ。館内には地元飲食店の弁当売り場が連なり、開演前から来場客でにぎわう(撮影・木村貴之)
歌舞伎公演の開演前に購入し、休憩時間中に広げた弁当。博多座によると、弁当の「幕の内」という言葉は歌舞伎に由来するという
木村貴之(きむら・たかゆき)<br />
1994年から西日本新聞記者。趣味は釣りとエレキギターの手入れ。好きな映画は「椿三十郎」「八つ墓村」「ナチョ・リブレ」。音楽はレッド・ツェッペリン「貴方を愛しつづけて」、寺井尚子「ジャズ・ワルツ」、里見洋と一番星「新盛り場ブルース」









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