ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

賃金上昇率を押し上げか 勤労統計不適切処理 昨年1月以降、数値補正で

2019年01月11日 03時00分 更新

記者:永松英一郎、森井徹

 厚生労働省の「毎月勤労統計」が不適切な手法で調査されていた問題で、本来の調査方法に近づけるための数値補正によって昨年1月以降の賃金上昇率が押し上げられた可能性が高いことが10日、分かった。同統計では昨年1月以降の賃金上昇率が高めに出ていることも問題視されているが、厚労省は西日本新聞の度重なる取材に、補正の事実を伏せ続けていた。賃上げがアベノミクスの成否の鍵を握る中、専門家からは「意図的な統計操作の疑いもある」との批判も出ており、補正の経緯や公表値の修正も今後の焦点となりそうだ。

 政府関係者によると、厚労省が補正を始めたのは昨年1月調査分から。大規模な事業者は全数調査がルールだが、東京都分は対象約1400社のうち約500社しか調査しなかったにもかかわらず、統計上の処理で全数調査に近づけるよう補正するようになったという。

 それまでは、賃金が比較的高い大規模な事業者の調査数が本来の約3分の1程度にすぎなかったこともあり、統計で示される賃金水準が実際より低くなっていた可能性が高い。昨年1月以降の賃金上昇率は、補正済みの数値と補正していない前年同月の数値を比較する形となり、実際より上げ幅が大きく出ていることが考えられるという。

 昨年1月以降の賃金上昇率(現金給与総額の前年比増加率)を巡っては、昨年6月に約21年ぶりの高水準となる3・3%を記録するなど好調な結果が続いたが、統計の作成手法の変更によって数値が上振れしていたことが発覚している。

 厚労省は本紙の取材に対し、計算で使うデータの更新▽調査対象企業の入れ替え−の2点を上振れ要因と説明し発表手法を変更するなどしたが、今回の補正については公表していなかった。

 経済分析を手掛けるSMBC日興証券の宮前耕也氏は「補正前と補正後の数値を比べたとすれば、統計の継続性が失われる。公表していない要因で数値が変動する統計は扱いが難しい」と困惑。行政の情報管理に詳しい専修大の山田健太教授(言論学)は「(高い賃金上昇率を出すために)意図的に補正前後の数値を比べた可能性も否定できない。統計の改ざんに近い印象だ」と指摘する。










全国経済 ニュースの最新記事



Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事