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ドローン事故多発法改正 福岡などで死亡3件 政府方針

2019年02月08日 03時00分 更新

記者:湯之前八州


  • ドローンで大規模太陽光発電所を点検する実証実験=2018年3月、鹿児島県日置市

 小型無人機ドローンが人に衝突する死亡事故が、福岡、北海道、千葉で計3件起きていたことが、国土交通省や農林水産省などへの取材で7日、分かった。死亡事故の件数が明らかになるのは初めて。事故やトラブルも、昨年12月までの約3年間で少なくとも180件発生していた。ドローンは現在、国内で十数万機が飛行しているとみられ、今後も活用分野の拡大が予想される。政府は事故対策を急ぐ必要があるとして、飛行前点検の義務化などを内容とする罰則付きの航空法改正案を開会中の通常国会に提出する方針を固めた。

 農水省などによると、死亡事故を起こしたのは、いずれも水田に農薬散布中のヘリコプター型機体。1996年8月、福岡県二丈町(現糸島市)で、回転翼が操縦者の顔を直撃した。2010年7月には北海道せたな町で、機体が操縦補助の男性に衝突。13年7月には千葉県君津市で、機体が電線を避けようとして高度を下げすぎ、操縦していた男性の頭に当たった。

 けが人が出た事故では、03年7月に佐賀県武雄市で、農薬散布のため操縦していた男性が機体の直撃を受け右足を切断。17年11月には、岐阜県大垣市のイベント会場で菓子をまく機体が観客に落下し、6人が救急搬送され、3人が軽傷を負っている。

 ドローンの事故やトラブルについて、国交省は15年12月から件数を集計していいる。それによると、けが人が出た事故は6件、建物や車などの物損事故は13件。旅客機やドクターヘリなど、一般の航空機に異常接近した事例も9件あった。高速道路への落下のほか、墜落、炎上して周囲の草に延焼した例など、大事故につながりかねないケースもあった。ただ、集計の基になる操縦者の報告は任意で、実際はさらに多く発生している可能性がある。

 航空法改正案は、操縦者に対して飛行前点検や気象状況の確認、飛行機との衝突予防を義務化。急降下など他人に迷惑を及ぼす行為や、飲酒後の操縦を禁じる。事故発生時に、国が操縦者の聞き取りや立ち入り調査をすることができることも規定する。

 ドローンに操縦の国家資格はなく、現在の航空法は人口密集地域や目視外での飛行の場合に、許可や承認を必要と定めている。

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用途拡大に備え先手 人手不足解消に期待 適度な規制で「安心」醸成

 政府が航空法を改正し、無人航空機ドローンの事故防止対策を強化する背景には、ドローン活用を人手不足対策の柱にしたい思惑がある。人工知能(AI)や大容量通信技術との結びつきを強めることで、物流や警備など幅広い分野での活用が見込めるドローン。活用拡大で起こりうるトラブルを回避するため、今のうちに安全対策のルールを整備しておくのが狙いだ。

 ドローンの用途は長らく、ラジコン趣味や農薬散布に限られていた。爆発的に広まったのは2010年以降。仏パロット社や中国DJI社が、スマートフォンで操縦したり、搭載カメラの画像を見たりできる機体を売り出し、まずは趣味の世界で空撮画像を動画投稿サイトやSNS(会員制交流サイト)に公開する楽しみ方が広がった。

 性能が進化するにつれて産業用も普及。16年の熊本地震では、行方不明者の捜索や、崩落した阿蘇大橋(熊本県南阿蘇村)の被害確認に貢献した。

 作物や養殖の成長状況を空撮し、AIと連動して肥料や餌の量を判断する技術の開発など、最近では先端技術と組み合わせた多様な実証実験が全国で行われている。空撮画像をAIで解析し、老朽化したコンクリート建造物を点検する活用策もある。関連する企業や研究者でつくる日本UAS産業振興協議会は現在、世界で400万機、国内で10万機超が飛んでいると推定。「産業用の機体数は年30%ずつ伸びる」とみる。

 中でも政府が力を入れるのが、人手不足の深刻な運送分野での活用だ。「ドローンの活用は、車両の自動運転と並ぶ運送業界の人手不足解消の2本柱」と話すのは国土交通省幹部。九州は山間部や離島が多いことからニーズも高く、昨年11月には福岡市西区の玄界島と本土の間で運送実験を実施した。大分県も7日、宅配サービスの実証実験を佐伯市の山間地で開始。国交省は航空法の目視外飛行の規制を緩和し、長距離飛行を後押ししている。

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 一方、政府の安全対策は後手に回った。本格的な法規制は、15年4月に首相官邸屋上でドローンが発見された事件以後。航空法が改正されたり、小型無人機等飛行禁止法が制定されたりした。だが、原発上空の飛行禁止などテロ対策に主眼が置かれ、産業活用での安全対策は進まなかった。旅客機への接近や高速道路への落下、墜落後の炎上など「あわや大惨事」(政府関係者)の問題も起きている。

 規制は必要、だが過剰になれば活用の妨げになる−。二律背反の課題の中、政府は国交省や内閣府など関係省庁の連絡会議でルール作りの在り方を検討してきた。「機体数の割に事故件数はまだ多くない。でも、深刻な事故が起きるとドローンに対する国民の理解が得られなくなる」。国交省幹部は、航空法改正の必要性をこう説明している。

ドローン 遠隔操作や自動操縦で飛行する無人航空機の総称。英語で雄のハチを示す「drone」が語源。航空法は無人航空機について、重さ200グラム以上としており、従来のラジコン機や農業用無人ヘリコプターも含まれる。2010年以降、複数の回転翼で機体を制御し、スマートフォンなどと連動する「マルチコプター」が爆発的に普及。世界で400万機、国内で10万機超が飛んでいると推計される。









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