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「移住100人」できるかな 挑戦的な宣言掲げた福岡のベンチャー

2019年02月19日 03時00分 更新

記者:石田剛


  • 2019年度の1年間で「福岡移住100人」の実現に意欲を見せる中村義之さん=福岡市

 「東京一極集中」が続く中、地方への移住者を増やそうと各地で模索が続く。少しずつ移住促進の成功事例は出ているが、「1年間で100人の福岡移住を実現する」という大きな目標を、福岡市の人材紹介ベンチャー「YOUTURN(ユーターン)」が打ち出した。「マーケットはある」と中村義之代表取締役(34)は真剣な顔で語る。

 ユーターンは、福岡へのUターンやIターンを希望する首都圏の人材に特化した人材紹介業者だ。中村さんが2016年5月に起業、17年から事業を本格スタートした。紹介する人材は、専門スキルや経営経験などを持つ「課題解決型」を掲げる。

 人材の登録数は非公表だが「順調に伸びている」。求人の登録企業は約30社。自治体向け広告サービスを手掛けるホープ(福岡市)や無料登山地図アプリを提供するヤマップ(同)など、成長株も多い。

 中村さん自身も「Uターン組」だ。高校まで福岡市で過ごし、筑波大へ進学。新卒入社したDeNAとグループ企業で6年半働いた後、帰郷してユーターンを立ち上げた。

 ただ、中村さんのUターンはやむを得ない面があった。DeNAでは入社2年半で、分社化した結婚情報サイト運営会社の取締役に。事業は順調に成長し、当初の目標だった5年以内の東京証券取引所マザーズ上場を3年半で達成した。しかし、過労がたたって体調を崩した。勤務ができなくなり、退職。30歳のときだった。

 1年半に及んだ療養で、体調は回復。「もう二度とあんな働き方はしたくない」と思う一方「仕事でチャレンジする充実感」もよみがえってきた。悩んだ結果、職住近接で地縁もあり働きやすい福岡での起業を決めた。

 帰郷時、具体的なビジネスプランは描いていなかった。だが、福岡のベンチャー企業や起業家を訪ねるうちに課題が見えてきた。「みんな口をそろえたように『人材確保が課題』と話す。それに対して東京では『地方で働きたいけど仕事がない』という声を何度も聞いた。足りないのはマッチングだ」

 人材紹介業は初めてだったが、東京の第一線で活躍していたキャリアコンサルタントの参画という幸運にも恵まれた。

 とはいえ、これまで実際に移住に至ったのは2人。「2019年度に100人」という目標は相当高い。中村さんも「移住の機運を盛り上げたい」と語るように、敢えて象徴的な数字を打ち出す”宣伝効果”の狙いもあるだろう。現に、1月の目標発表後、登録人材数もホームページの閲覧数も倍増したという。

 DeNA時代のネットワークに加え、福岡の「元気な地方都市」というイメージも生きる。「名の知れた企業の管理職や技術職など登録人材のレベルは充実していて、既存の人材紹介業にはない強みがある。全く自信が無かったら目標にしない」と中村さん。もちろん、企業側が移住希望者に転職を決断させる条件を用意できるかという課題はあり、今後どこまで実績を積み重ねられるかは見えにくい。

 ただ、「東京にいる経験豊かな人材がたくさん地方に移住すれば社会は変わる」という中村さんの言葉が現実になれば面白いのも確か。

 福岡からの挑戦的な「宣言」の行方に注目したい。

   ◇   ◇

 ユーターンは23日午後2〜6時、ふくおかフィナンシャルグループなどと共同で企業と人材の交流イベント「福業会議」を東京・八重洲の「DIAGONAL RUN TOKYO」で開く。参加無料。










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