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たった一機の初飛行、「最後の一葉」で道を開いた地下鉄…ギンギラの試練、百貨店不況と福岡沖地震 福岡流通戦争モノ語り(6)

2019年03月05日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • YS―11のかぶりモノを着けて福岡空港に着陸する旅客機に敬礼する大塚ムネトさん。百貨店の停滞が、物語の幅を広げることになった

  • スカイマークの就航認可を告げる1998年8月23日付の本紙

  • 初日から大幅に遅れたスカイマーク。最終便は2時間遅れで、会社は乗客にタクシー代を支払った



 流通戦争を繰り返した天神。一方で、「見えない敵」であるネットショッピングの勢いは静かに拡大していた。日本百貨店協会によると、全国の百貨店の売上高は1991年の9兆7130億円がピーク。90年代は後半に一時売上高が上昇に転じることもあったが、2000年代は一貫して右肩下がり。2001年の8兆5724億円から、10年は6兆2921億円にまで落ち込んだ。一方で、電子商取引(EC)の市場規模は拡大を続け、経済産業省の調査によると2010年には小売り分野だけで4兆円を超えるまでに成長した。

 (大塚)ネットの台頭は、流通をテーマにしてきたギンギラにとっても厳しいものがありました。ただ、それは同時に、物語が飛躍するきっかけにもなりました。デパートに行くのは電車、バス、地下鉄ですよね。物語は、交通機関に広がりました。

 もちろん、従来もキャラクターとして、地下鉄やバスは登場していた。

 (大塚)これまで流通が主役のモノ語りに、「街にお客様を運ぶキャラ」として様々な交通機関が登場しています。「バス停で客待ちするタクシーと戦いながら走るバス軍団」「青空にあこがれている地下鉄軍団」などなど。まずバスを主役にした「愛と青春のバス達」を作りました。次が地下鉄が主役の「地上最大の作戦」。どの業界も取材をすると面白いエピソードがいっぱいで、あらためて「現場って面白いなぁ」と。そんな時に飛び込んできたのが「スカイマーク就航」のニュースでした。

 98年に就航した「スカイマークエアラインズ(現スカイマーク)」は、35年ぶりの新規航空会社。料金は大手の半額。業界にも、ギンギラにも強いインパクトを与えた。

 (大塚)当時は大手航空会社しかいない「おしゃれなイメージ」の航空業界。そこに「たった1機で参入、しかも料金は大手の半額」というのが、何ともやんちゃな感じがして。これは「福岡から始まる空のモノ語り」が作れるぞとワクワクしました。今でこそ格安料金のLCCは当たり前ですが、当時は画期的だったんです。

 (大塚)取材で福岡支社に行きましたが、関係者から聞いた「参入までの苦労の数々」は、ますます応援したくなりました 。

 注目の中で就航したスカイマークは第一便から大幅に遅れ、苦いデビューを飾った。空でも地上でも、苦労の連続だったという。

 (大塚)まず苦労したのが、空港での窓口カウンター設置です。「お土産店に貸す場所はあっても、スカイマークに貸してくれる場所はないんだよ。うちのカウンターは、空港の端っこなんだから!」と関係者が嘆いていたのが印象に残っています。端っこなのはカウンターだけではありません。飛行機を止める場所も端っこでした。だから運行が遅れるのも仕方がなかったんです。受付は端っこ、飛行機に乗るための移動にも時間がかかる。空港には「準備ができた飛行機から離陸」と言うルールがあって、スカイマークはどんどん後回しにされていたんですから。

 (大塚)強みだった半額運賃も、大手の「半額返し攻撃」を受けました。スカイマークが飛ぶ時間だけ、半額にしたんですね。再び取材に行くと、関係者の方は「こちらはコストダウンして裏付けた半額なのに、大手は採算度外視で自分たちをやっつけようとしている。もしスカイマークがなくなったら料金は戻る、だから絶対に負けられない」と熱く語ってくれました。こうした取材を重ねて、スカイマークを主役にした「翼をくださいっ!」は、現在の航空業界を描く作品になるはずでした。


東京のパルコ劇場で演じた「翼をください」の一場面
雁ノ巣飛行場跡にあった格納庫跡。2002年に撤去され、今はない。
再演時は、引退する国産飛行機YS−11も登場。引退前には「YSキャラ」で、実際にYS−11に乗る(2006年 福岡空港にて)
2015年、スカイマークの民事再生法適用申請を伝える本紙紙面
ギンギラのステージに登場した地下鉄3号線たち。手にしたスコップに、延伸への強い思いがうかがえる
地下鉄3号線の愛称決定を伝える2003年6月21日の本紙紙面。公募の票数は3番手だった
博多駅前の大規模陥没を伝える本紙紙面
ギンギラではおなじみ、西鉄バス軍団









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