ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

フクオカ流通戦争

一覧ページへ

たった一機の初飛行、「最後の一葉」で道を開いた地下鉄…ギンギラの試練、百貨店不況と福岡沖地震 福岡流通戦争モノ語り(6)

2019年03月05日 03時00分 更新

記者:福間慎一


  • 東京のパルコ劇場で演じた「翼をください」の一場面

  • 雁ノ巣飛行場跡にあった格納庫跡。2002年に撤去され、今はない。

  • 再演時は、引退する国産飛行機YS−11も登場。引退前には「YSキャラ」で、実際にYS−11に乗る(2006年 福岡空港にて)

  • 2015年、スカイマークの民事再生法適用申請を伝える本紙紙面

 物語は、意外な方向に発展する。

 (大塚)九州の空港の歴史を調べて、取材を進めるうちに、雁ノ巣(福岡市東区)にあった飛行場が、戦前は九州初の国際空港だったということを知りました。今はありませんが、取材当時は、雁ノ巣レクレーションセンターの野球グラウンドそばに、格納庫も残ってたんです。

 (大塚)この格納庫を見に行きましたが「屋根も破れてボロボロな姿」に驚きました。あまりに強烈で「この格納庫を、どんなキャラにしたらいいんだろうか…」と途方に暮れたほどです。でも、雁ノ巣からの帰り道に図書館で「雁ノ巣飛行場から戦闘機が飛び立っていったが、二度と戻らなかった」と書かれた資料を見つけて。「そうか、あの格納庫は、逝ってしまった翼を待ち続けているんだ!」と、ボロボロになっても存在していることに納得したんです。こうしてボロボロの格納庫は、「特攻で散った飛行機たちの帰りを待ち続けている母」というキャラクターになりました。この格納庫がきっかけで、「空の歴史」もモノ語りに加えることにしました。

 (大塚)やんちゃな「たった1機の半額運賃」から始まったモノ語りは、現在の航空事情だけでなく、空の黎明期、戦争の苦難をも描く「流通キャラが一切出てこない、ギンギラの代表作」となったんです。

 この「翼をください」は不思議な運命をたどる。空のモノ語りを揺さぶったのは、2005年3月20日、最大震度6弱の揺れが襲った福岡沖地震だった。

 (大塚)西鉄ホールでの公演が中止になったときに、東京のパルコ劇場から「悔しい思いをぶつけませんか」と声がかかりました。地元密着エンターテインメントを追求する僕らは、いわば「地産地消の野菜」です。その、地元で取れたての味を、そのまま「東京の一流店」に出荷するのが面白くて、公演中止の悔しさはワクワクへと変わりました。手をさしのべてくれたパルコ劇場には本当に感謝しています。東京公演は、そのまま出荷ですから、いつも通り「バス軍団の登場」からスタート。最初は「何が始まるんだ」と言うお客様の雰囲気でしたが、モノ語りに描いている喜怒哀楽はしっかり伝わり、クライマックスは福岡と変わらない盛り上がりでした。

 (大塚)このパルコをきっかけに全国でも上演。モノ語りの力は、地域を越えて受けとめてもらえることを実感しました。全国ツアーから戻って、地元のお客様に「ひらきなおって福岡だけで面白いことを追求してきましたが、面白さは全国でも受けとめてもらえました」と報告できたのが一番嬉しかったです。

 鳴り物入りで参入したスカイマークも、一時は運命にほんろうされた。さらに安価なLCC(格安航空会社)の相次ぐ参入もあり経営が悪化し、2015年に民事再生法の適用を申請したのだ。当時の本紙記事は「元祖格安、格安に敗北」と伝えた。投資ファンドなどの支援を受け、運行は現在も継続。昨年、就航20周年を迎えた。


YS―11のかぶりモノを着けて福岡空港に着陸する旅客機に敬礼する大塚ムネトさん。百貨店の停滞が、物語の幅を広げることになった
スカイマークの就航認可を告げる1998年8月23日付の本紙
初日から大幅に遅れたスカイマーク。最終便は2時間遅れで、会社は乗客にタクシー代を支払った
ギンギラのステージに登場した地下鉄3号線たち。手にしたスコップに、延伸への強い思いがうかがえる
地下鉄3号線の愛称決定を伝える2003年6月21日の本紙紙面。公募の票数は3番手だった
博多駅前の大規模陥没を伝える本紙紙面
ギンギラではおなじみ、西鉄バス軍団









特集 qレポートの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事