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ロープウエー構想断念 高島市長一問一答

2019年03月14日 03時00分 更新

記者:坂本公司、前田倫之、北島剛


  • 報道陣の質問に答える高島宗一郎福岡市長(右)(撮影・佐藤雄太朗)

  • 高島宗一郎市長のロープウエー構想断念を受け、記者団の取材に応じる自民党市議団の打越基安副会長(右から2人目)と平畑雅博幹事長(右)

 「ロープウエーを進めることはしない」−。福岡市の高島宗一郎市長は13日、構想の検討費を削除する新年度当初予算案の修正案が市議会本会議で可決されたことを受け、こう明言した。一昨年の福岡空港出資問題の時と同じく、市長が「再議」に踏み切るのではないかとの臆測もあった中、ロープウエー構想断念は急転直下の展開。議会からは歓迎する声や、今月29日に告示される市議選の「争点隠し」を疑う声などが聞かれた。


市民の幸せにつながらない/決断は早い方がいい/今後も夢投げ掛ける

 昨年の福岡市長選で公約に掲げたロープウエー構想の断念を明言した高島宗一郎市長は夕方、市議会の採決で共同歩調を取った与党系3会派の代表者と一緒にカメラの前に立った。報道陣との主なやりとりは次の通り。

 −自民党市議団が提案したロープウエー検討費削除の修正案可決をどう受け止め、どう対応するか。

 「着工するための予算ではなく、市民に判断材料を提供するためのもので、修正案の可決は大変残念だ。与党3会派の公明党市議団、自民党新福岡、みらい・無所属の会と話し合い、(議会に議決のやり直しを求める)再議をしないと決めた」

 「もう一つ決断した。市としては、ロープウエーを進めることを検討しない。整備に関する議論もしない。市民の理解が進んでいない」

 「理由は三つある。博多港ウオーターフロント(WF)地区の開発ができておらず、ロープウエーがすぐに必要だと思われていないことが一つ。都市型ロープウエーの事例が国内になく、イメージが湧かないことが一つ。全て税金で造って運営し、(その影響で)福祉が削られるとのイメージが広められ、誤解が生じていることが一つ。何としても続けたいわけではないので、(構想を継続するか否かの)決断は早い方がいいと考えた。決断するのがリーダーの仕事だ」

 −ロープウエーに絞り込んでいたWF地区の交通需要対策はどうする。

 「いろいろな意見があるだろうから、議会で話してもらえればいい。皆で冷静にビジョンを考え、粛々と検討を続ければいいと思う」

 −「白紙撤回」は公約違反になるのではないか。

 「政治家は、夢やビジョンを市民に発信することが大事だ。福岡の経済が元気になり、市民生活が良くなる好循環をつくるために、今後も市長としての夢は投げ掛けたい」

 「ただ、それが市民の描く未来図と共感しにくいのであれば、公約だからといって無理やり進めるような乱暴なことはしない」

 −3会派と並んで取材に応じた理由は。

 「(自民の修正案ではなく)市の予算案に共感していただいた。採決後の対応について、ともに意見交換して決定したので同席してもらった」

 −ロープウエーは、29日に告示される福岡市議選の争点になると思うか。

 「私がやめると決断したので、争点にはならない。(逆にロープウエーを)絶対に進めてほしい方は、争点にしてもらえればいい」

 −自民は市長に「反省」を求めていたが。

 「市民の声がどうであるかに真摯(しんし)に耳を傾けたい。(一昨年の)福岡空港出資問題の際は、(出資となれば)何十億円もの市民の税金を使えなくしてしまうことから、体を張って再議してでも出資を阻止した。今回は市民の理解が進んでいないのであれば、柔軟に対応したい」

 −修正案の採決結果が賛成39、反対20の大差だったことは判断に影響したか。

 「議会だけでなく、市民がどう考えているかを受け止め、この問題だけを引っ張るのは市民の幸せにつながらないと考えた。人数がどうだったかは関係ない」


理解と戸惑い交錯 福岡市議会

 これまで一貫して高島市政を支え、今回のロープウエー構想を巡る採決でも修正案を出した最大会派の自民党市議団とたもとを分かった公明党市議団、みらい・無所属の会、自民党新福岡の3会派。

 高島宗一郎市長の報道陣対応に同席した公明の黒子秀勇樹団長は、「市民に判断する材料を提供したいという検討費だったので、賛成した。今、市長が(ロープウエー構想を)断念するという結論を尊重したい」。みらいの国分徳彦会長も「いきなりの工事費ではなく、検討費であり、未来のためにやっておくべきと判断したが結果を真摯(しんし)に受け止めたい」と述べた。

 自民新福岡の飯盛利康会長は、高島市長が早々に断念を決めたことについて「自身のメンツにこだわらず、いろいろな意見を聞きながらスピーディーに決断するリーダーは心強い」と持ち上げた。

 一方、福岡空港出資問題に続き、高島市長と対峙(たいじ)する構図になった自民。

 平畑雅博幹事長は「(自民の)修正案はロープウエー自体に反対ではなく、議論の進め方に対して苦言を呈したもの。(構想を)撤回までしなくてもいいのでは」と戸惑いの表情。南原茂会長は「議会の民意を受け止め、よく英断してくれた」と評価し、今後の高島市長との関係についても「これからも市政発展のため、どんなことでも議論していきたい」と与党のスタンスを強調した。

 ロープウエー反対の旗を明確に掲げてきた会派は、二元代表制で首長と「車の両輪」をなす議会として、一定のチェック機能を果たしたとの自負をのぞかせた。

 共産党市議団の中山郁美団長は「市民の反対の声が議会でも明らかになり、高島市長もごり押しできない状況になった」。目前に迫った市議選にも触れ、「ロープウエーが主要争点になれば、市長を支える勢力が困る。(そのことを)市長が忖度(そんたく)したのでは」と断念に至った背景を推し量った。

 立憲民主、国民民主、社民系でつくる市民クラブの阿部正剛代表は「活発な議論があり、議会の声が市長の決断につながった。(市長が)検討費はいったん取り下げ、市議選改選後に再提案すると予測していただけに、少し意外だった」と語った。










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