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老舗茶問屋「日除け」にサインデザイン賞 八女の会社復元

2013年08月18日 03時00分 更新

記者:佐々木直樹


  • サインデザイン奨励賞に選ばれたこのみ園の「日除け」(左)。写真を基に昨年、復元した

  • 茶の品質を吟味できるよう、日除けの中では明るさが一定に保たれる

 福岡県八女市の老舗茶問屋「このみ園」が昨年復元した、茶を鑑定する拝見場(はいけんば)外観の「日除(よ)け」が、優れたデザインの看板広告などを対象に、日本サインデザイン協会が実施する第47回SDA賞で「サインデザイン奨励賞」に選ばれた。入賞作の約半数を東京の現代建築作品などが占める中、品質にこだわる茶商の「証し」だった地域の伝統的建造物が評価されたことに、関係者は「勇気づけられた」と喜んだ。

 SDA賞は優れたサインデザイン作品の普及や啓発を目的に、1966年に創設。本年度は301点の応募があり、このみ園の日除けは、九州で唯一の入賞となった。

 日除けは照明設備が不十分だった時代に、生産者から持ち込まれた茶の色や形などを、茶問屋が店舗内の拝見場で見極める際、天候に左右されず、一定の明るさを室内に取り込むために不可欠だった。また、海外に輸出する茶問屋が日除けを設けていたため、品質にこだわっていることを証明する「看板」でもあったという。

 照明の普及などで減少し、このみ園では昭和10年代半ばに取り壊した。だが、伝統的で珍しい様式の拝見場を現代の来店者に知ってもらおうと、昭和初期の写真を基に昨年7月に復元した。

 窓を高さ約3・6メートルの黒塗りの遮光板で覆い、約90センチ開いた上部から太陽光を採り入れる構造。窓際に設けた台上に置いた茶葉は柔らかい陽光で照らされ、長時間見ても疲れにくい。

 1865(慶応元)年に輸出製茶問屋として創業したこのみ園は、品質向上のため、拝見場で生産者に良質の茶葉の見分け方を指導。その後、優れた品質を確信した同園3代目が1925(大正14)年、八女地方のお茶の名称を統一して売り出すことを呼び掛けたことから、「八女茶」の名が全国に広まったという。

 SDA賞に応募したこのみ園の許斐(このみ)健一専務(38)は「日除けは、茶商にとっての誇りでもあった。受賞を機会にいま一度、その思いを受け継ぎ、日本の茶の文化を広く発信していきたい」と話している。








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