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「地方ヤンキー」新たなリアル 「チクホー男子」作者の思い

2014年04月24日 03時00分 更新

記者:川合秀紀


  • モーニング連載中の「チクホー男子☆登校編」の原画(以下=(c)美月うさぎ/講談社)

 最近、巷で「ヤンキー経済」や「ヤンキー消費」などの言説が流行している。本当の「不良」ではなく、地元志向が強く、友人や家族との絆を重視し、活動や関心の範囲はとても狭いが、幸福度は高く、消費意欲も旺盛−。地方都市に多い、こうした生活・消費のあり方が「ヤンキー」というキーワードで説明され、注目を集めている。

 「チクホー男子☆登校編」(モーニング連載)を読んでいると、いみじくも地方に生きる現代の「ヤンキー」のリアルで、コミカルで、幸せそうで、でもどこか物悲しい現実も感じさせる。福岡県鞍手郡出身の作者、美月うさぎさん(39)に聞いた。

※「『「筑豊』漫画、メジャーデビュー」本文はこちら。

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 ―延々とおバカな会話をする主役の男子高校生2人がとても面白くて。
 「はい。すごくイケメンなヤンキーなんだけど、方言で、いまだに『腰パン』姿で、まじめな顔をしてすごくバカな話をしている、という様子が書きたかったんです(笑)」

 ―福岡県内の高校をモデルにしたとされる「ビー・バップ・ハイスクール」など、これまでの定番のヤンキー漫画にはない新しさを感じました。
 「『ビー・バップ』は私も大好きでした。ただ、私が生まれ育った地元では、すごく本物のヤンキーもいるにはいましたが、本当は少なくって。漫画のような男子の方が多かったんです」

 《主人公の男子高校生2人(奥ちゃんと星ちゃん)の会話は、恋愛、友人、趣味、買い物など、何の変哲もなく、劇的なストーリー展開もない。2人はただ、身の回りにあったことを、だらだらと、でも懸命に話し続ける。それが一層、若者のリアルさを際立たせる。人気漫画を生み続けてきた「モーニング」関係者も「ただ会話しているだけなのになぜこんなに笑えるのか」と舌を巻く》

 ―どんな経緯で連載を始めたんですか?
 「もともと個人的な趣味の延長で漫画を描いて、ウェブに公開していたんです。その一つで筑豊の言葉丸出しの学生を描いたものを、モーニング編集部の方が偶然見つけて、声をかけていただきました」

 ―いきなりのメジャーデビューですね。
 「最初はイタズラと思いました。でもどうも本当の話で。最初はバンドマンの設定だったんですが、描いていてイマイチだったんです。編集部の方に『じゃあ電車内の学生という設定は?』と言われて描き始めると、楽しくてどんどん筆が進みました。面白さが伝わるか不安でしたが、編集部の方も『これです!』と後押ししてくれました」

 ―2人の会話は、長年電車を使ってきた美月さんの記憶や体験を基にしているんですか?
 「あれ、ほとんどは私と私の友人の会話なんです(笑)」

 ―は?
 「はい」

 ―そう言われてみれば、女性の皆さんの会話っぽいですね。
 「そうなんです。もちろん、知り合いの息子さんがよく遊びに来るので、会話をする中で出てくる(漫画に出てくるような)『ああ、金持ちになりてー』とかの言葉も参考にしています。でも、積極的に外には出ていこうとはしない。なぜなのか不思議に感じていましたが…」

 《漫画では、こうした若者を象徴する場面がある。2人の同級生が『博多デビューした』という話になり、2人とも負けずに博多に行く計画を立て始める。だが、『問題は帰りやね? だって博多駅っち、いっぱい番線があろうもん』という理由で、すぐに『行くのやめよっか』となる。ツイッターも使うが、振り回されるほどではない。「地元」や「現状」の居心地を重視する彼らの空気をうまく表している》

 ―でも、漫画の2人はどう見ても、幸せそうなんですよね。










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