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天神・博多に見る「カバン」と「文具」市場の変化

2014年08月27日 03時00分 更新

記者:古川武史氏


  • 古川武史氏(ふるかわ・たけふみ) 福岡県出身。1973年生まれ。筑波大学第一学群自然学類(化学主専攻)卒。外資系製薬会社に約4年間在籍後、2000年8月朝日監査法人(現あずさ監査法人)入所。01年6月朝日ビジネスコンサルティングとして分社化後、03年12月取締役に就任。06年5月社長就任。朝日ビジネスマーケティング社長、朝日ビジネスシステム会長兼任。また、特定非営利活動法人九州・アジア経営塾にて、九州、日本およびアジア、ひいては世界の経済の将来を担う「人材」を九州から輩出することを目的にプログラム・アドバイザーとしても活動を続ける。趣味は野球、ゴルフ。




古川武史氏(朝日ビジネスコンサルティング社長)


コンビニでも気付ける変化

 最近、書店だけでなくコンビニでも見かけるようになった雑誌があります。「文具」を取り扱う雑誌。気に留めずに見ていると通り過ごしてしまいますが・・・。

 皆さんはこの現象をどのように捉えますか?

 このような雑誌が発行され、しかも書籍専門店でない場所で販売をされるということは、その種類への関心が高まっていることを示していると私は考えます。多くの人が興味を持っているからこそ発行され、コンビニという、この時代では身近にどこにでもあるチャネルによって販売されるということは、その市場自体が拡大傾向にあるという、これまでとは違う変化が起こっていると考えていいのではないでしょうか。

文具市場の動向

 では、文具市場を数値的に見ていきましょう。国内の文具・事務用品市場は2011年度推定で4700億円程度だと言われています。景気の影響を受けやすい業界でもありますが、ここにきて少しずつではありますが拡大傾向にあると言われています。

 しかしながら、長期的に見ると人口減少の影響は否めないし、少子化やデジタル化の状況も考えると、現状のままでは縮小していくことが予測されてしまいます。やはり、国内市場での長期見通しは甘くないようです。

縮小が予測される市場において

 そんな市場動向にいるメーカーや小売店が黙って過ごしているのか?

 当然、違いますよね。その危機感があるからこそ、今、社運をかけるような勢いで攻めに転じているのではないでしょうか。文具売り場に立ち、いつも、そのことを思い浮かべます。専門雑誌の販売や特集記事で取り上げられる商品、そして、売り場でいろいろな商品を触ってみてメーカーの戦略を感じます。

 販売されているものは、万年筆やボールペン、ノートや手帳とこれまでと大きく種類は変わりませんが、機能性が格段に上がっています。一見すると昔と同じ形でも、想像できないくらい便利になっています。
 
 例えば、三菱鉛筆のジェットストリーム。インクの改良によってペン先の摩擦を減らし、書き心地を滑らかにした油性ボールペンは、今や私のどのカバンにも刺さっています。また、学生の方々と話をしているとパイロットコーポレーションから出されているフリクションは、擦ることで発生する摩擦熱でインクを消すことができるボールペンとして多くの人が使っていると言っていました。最近はスマートフォンやタブレットPCに対応をした文具類も各種出ていて、数年前からすると売り場は大きく変わっています。

 私自身もノートはキングジムから出ている「ショットノート」を活用し始めてかなり経ちます。Evernoteに対応しデジタル化できる点が仕事上有効で、デジタルとアナログの融合を図ってきているとも言われます。このようなメーカーの新機能商品の投入が、あるいはそれらのマーケティング戦略としての雑誌の活用が今、市場を大きく変えようとしているのは言うまでもありません。

福岡に見られる新しい動き

 さて、視線を九州、福岡に転じましょう。小売り業にとって(だけではないでしょうが・・・)、福岡は非常に面白い商業地区です。

 天神と博多という商業の集積拠点が近い場所に存在し、いずれもお互いに競争し合い、お客様の流動性も高め合っています。百貨店も天神地区、博多駅地区にあり、徒歩も含めて移動手段も充実しています。反対に言えば、小売り業からすれば、天神にしても博多にしても非常に狭いエリアに集積しているため、集客力はあるものの競争も激しい場所だと言えます。

 このような集客力が高いと同時に競争も激しい場所に、次のような文具・雑貨の小売り業が設立あるいは進出してきました。
 
 1999年 インキューブ
 2007年 ロフト
 2011年 東急ハンズ

 ここに、従来からある文具専門店やTSUTAYAのような業種も文具を扱うようになり、文具の購入先はドンドン増えていっていますね。これら小売り店の戦略や展開については記述しませんが、このような市場であるからこそ、今後の文具市場の方向性を感じることができるのでは思います。これら大手の小売り業を行き来してみると面白いことを発見します。地理的な特徴があり、これだけの市場だからこそ見て取れる変化の兆しを発見することができます。

 先に示したようなメーカーの戦略に沿った商品は、どの店舗にも揃っています。これらの商品は、店舗のレイアウトや見せ方によっての違いはあるにせよ、ほぼ、どこに行っても同じ商品です。

福岡で気付ける胎動

 これらをほぼ半日もあれば見て回れる福岡にいるからこそ、気付くヒットの予感。それは、一気に棚割が増える分野、これまで取り扱っていなかった、もしくは取り扱いが少なかった商品分野の発見です。私は、ほぼ毎週、これらの店舗も見て回ります。必要にかられて見て回ることもありますが、時間があれば見て回っているという方が正しい。

 だからこそ、見えるものがあるのです。ここに、ヒットの予感を感じます。

 この数カ月、明らかに棚面積、あるいは売り場面積が広がった商品分野。少し前に流行った「バッグinバッグ」。

 これが、今、新たな商品機能を備えて、カバンの分野ではなく、文具の分野で市場を獲得していっています。呼応する形で、文具専門店で文具やPC、タブレットを入れるカバンが販売されています。










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