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「復興は終わっていない」 神戸市で聞き取り調査の長崎大・山口純哉准教授に聞く

2015年01月16日 03時00分 更新

記者:北島剛


 約6400人が犠牲となった阪神大震災から17日で20年を迎える。長崎大経済学部の山口純哉准教授(43)は震災後、神戸商科大(神戸市)の大学院生として、甚大な被害が出た神戸市長田区の企業の聞き取り調査とまちづくり懇談会に関わった。神戸の復興と被災地支援のあり方について聞いた。

 ■新しい方向性を

 1995年春に大学院に入って5年間、神戸市で産業復興とまちづくりの関係などについて研究した。対象は靴製造会社の集積地だった長田区。

 メーカーの組合員は震災前の約200社から約90社に減った。以前は短期間で大量に製品を作っていたが、今はデザインや機能性にこだわった業者が多い。地場企業が安定して雇用を生み出すには新しい方向性を見つける必要があると知った。

 神戸市は震災後に長田区の再開発に乗り出した。震災前の長田区は住居と工場が一体となった下町だった。住民らでつくるまちづくり懇談会は、自然環境を生かして高齢社会を見据えた「お年寄りと子どもが遊ぶ杜(もり)の下町」を提案したが、市は近代的なまちづくりを目指した。住民の意見はあまり反映されなかったように感じた。

 ■市民参加が重要

 神戸は震災前の生活や経済を取り戻したと思うが、局所的に見ると復興は終わっていない。新長田駅南地区の再開発は空きスペースが目立つ。まちづくりのビジョン(未来像)の修正が必要だ。

 行政だけで復興するのは難しい。懇談会を通して、市民がまちづくりに参加する重要性を知った。ほかのまちでも、日常的に将来のまちづくりについて考えておく必要がある。

 阪神大震災では多くのボランティアが入ったが、支援のミスマッチが課題となった。商店や飲食店が復旧しているのに物資支援したり、炊き出しをやったりするのは住民が自立する上で困る。東日本大震災では、ボランティアの受け入れ混乱は回避され、阪神大震災の経験が生きた。

 ■暮らす人本意に

 阪神大震災から20年を振り返ることは、東日本大震災の復興を考える上でも意味がある。被災地で暮らす人を大事にしたまちづくりを進めるという本質は変わらない。東北の被災地を外から見ると、津波を防ぐための堤防建設問題は、再び行政主導になっていないかと疑問に感じる。

 被災地の支援は、商品を買って販路を確保するなど、無理なく継続的にすることが必要だ。宮崎県では今、東日本大震災の復興支援活動団体の実績記録集を作って発信しようとしている。教訓を整理して共有することも被災地の支援につながる。

やまぐち・じゅんや 1971年、愛媛県生まれ。2000年、神戸商科大大学院経済学研究科博士後期課程単位取得退学。同年に長崎大経済学部専任講師となり、01年に助教授、07年から准教授。現在、長崎市の市民力推進委員会委員長などを務める。専門は地域経済学。









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