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なぜ「トイレネタ」は、最強なのか?

2015年03月26日 03時00分 更新

記者:中村修治氏


  • 中村修治氏(なかむら・しゅうじ) キナックスホールディングス代表取締役社長、ペーパーカンパニー代表取締役社長、dmi取締役。1986年、立命館大学卒業。94年、福岡でペーパーカンパニーを設立し独立。大手広告代理店のブレーンとなって多種多様な企画にいっちょかみをする。福岡に企画会社など存在もしなかったころから20年間も前線で生きている戦略プランナー。 最近は、Good不動産やJR博多シティのネーミングなどコンセプターとしての活動が多く、多様な企業の顧問および福岡大学非常勤講師も務める。ネット上でコラムを書くと数万のアクセスを荒稼ぎ。フェイスブックでは、毎月15000いいね以上を獲得。

中村修治氏(キナックスホールディングス社長)

 「ヒットの科学 九州版」は、今回が最終稿。有終の美は、ワタクシが飾らせていただく。他の執筆陣のみなさまゴメンなさい。シリーズ50本目の投稿は、総括である。「九州のヒットの科学」の最大ヒットコラムは、どうして生まれたかを分析してみる。


「いいね数」No.1は、「博多のソウルフード」のお話。

 まずは、投稿記事に対する「いいね」の数のランキング5を発表したい。「いいね」は、共感値である。「おまいさんの言ってることに賛同してやるぞ」という順位である。じゃーんっ・・・・。


(1)博多ソウルフードの魂は、何処にあるのか?
(2)天神“名物”の公衆トイレついに… 国体道路、築40年
(3)小さな町に5年間で移住者100人超!「ローカル」の新常識
(4)大手百貨店トップがうらやんだ「理想的な地下街」
(5)福岡の広告業界はダサくないか?大丈夫か?

 てへへへ・・・。燦然と輝く1位は、昨年8月掲載の小生のコラムである。779もの「いいね」をいただいた。牧のうどんや資さんうどんのおばちゃんの仕切りパワーが凄いことに、はじめて切り込んだネットならではの記事。手前味噌ながら『博多のソウルフードにお客様第一なし』は、核心をついた名言である。博多の気質を「M」とバッサリ斬ったところに、真性「M」の方々のソウルに火をつけたのだと分析する。改めて感謝を申し上げる。

(西日本新聞撮影、牧のうどん店内、写真と本文は関係ありません)


「PV数」No.1は、「天神“名物”の公衆トイレ」のお話。

 次は、純粋に投稿記事の「PV」数のランキング5を発表したい。どの記事がいちばん読まれたかである。じゃ、じゃーんっ・・・・。


(1)天神“名物”の公衆トイレついに… 国体道路、築40年
(2)福岡都心部が「デジトロポリス」と呼ばれつつあるらしい
(3)「UBER」と「ちゃんとした人」たち
(4)大手百貨店トップがうらやんだ「理想的な地下街」
(5)福岡の広告業界はダサくないか?大丈夫か?


 わっ!なんということでしょう・・・。たくさんの賢そうなコラムを尻目にぶっち抜きのPVNo.1は、2015年1月28日に掲載された「天神“名物”の公衆トイレついに… 国体道路、築40年」である。

 残りの49本の真面目なコラムは、「トイレネタ」に太刀打ちできないのである。こんなにマジメに執筆に取り組んできた貴重な時間を返していただきたい。計9人の執筆陣を代表してひとこと言わせていただく。「くそぉぉぉぉぉぉっ」o(^▽^)o

 福岡市・天神の通称「国体道路」沿いの歩道にせり出す形で約40年間設置された、あの恐怖の、「丸見えトイレ」のお話である。あの丸見え男子トイレで用を足せる輩のキン×マは、どんだけデカいのだろうと噂をしていた矢先の記事であった。

 このニュースは、投稿日当日にはYahoo!ニュースのトピックスにも取り上げられた。この記事を執筆した川合記者は、入社してはじめて会社から褒められたと言っていた。トイレネタで褒められた男が西日本新聞社にはいる。ワタシは、なんか嬉しいぞっ。福岡に移り住んできて良かった。

(今年1月、西日本新聞撮影)


トイレネタは、人生のテッパンである。

 ワタシのおふくろは、齢80歳。一緒にドライブや旅行に出かけようものなら、その会話の半分は、トイレの話である。高速道路になったら、気にすることは、次のトイレ休憩までの時間。旅館に入ったら、トイレと布団の位置。年老いていく母親は、その定番となった会話を、切実さを超えた笑い話にしてくれる。ありがたいっ。

 「介護ロボットに関する特別世論調査」(内閣府政府広報室、2013年8月調べ。本人または家族が介護経験のある696人への面接聴取)によると、「在宅介護で苦労すること」の上位3つは、下記の通りである。

(1)排泄(排泄時の付き添いやおむつの交換) 62.5%
(2)入浴(入浴時の付き添いや身体の洗浄) 58.3%
(3)食事(食事の準備、食事の介助) 49.1%

 介護問題の半分以上は、トイレにまつわる問題なのである。人生も完全に折り返してわかったことがある。いちばん読みたい本は「他人の預金通帳」。いつも抱えているのは「トイレの不安」。白日の下には晒されない情報を、実は、心待ちにしているのが人間なのである。

 ネット上の記事で、こんなのを見たら、即クリックである。テッパンである。

http://www.seirogan111.jp/toilet/


ネット上のヒット記事には、下心あり。

 「ヒットの科学 九州版」は、2014年4月1日スタート。まる1年で50本のコラムが掲載された。そのランキングを見てつくづく思う。これは、ネットメディアなのである。共感が集まるのは、素晴らしいデータを集積し分析したビジネスコラムよりも、うどんの話なのである。飛びぬけたPVを獲得するのは、丸見えのあのトイレネタなのである。

 ヒットの科学の最終稿に、こんなデータを掲載するのもどうかと思うが、思い切って紹介させていただく。下記は、ウィキペディアの2012年度の閲覧数ランキングである。


https://tools.wmflabs.org/wikitrends/2012.html#japanese


 大丈夫か?日本人?(笑)

 スマホやパソコンは、パーソナルメディアである。そのインターフェイスは、さらに手の内になっていく。パプリックな話よりも、よりパーソナルで、白日の下に晒されていないものを求めるようになっていく。ネットメディアは、テレビで見るような話や、新聞に書いてあるような記事を、追随していても意味がない。読まれもしない。

 ヒット記事を書くためのキーワードは、「下心」である。「下心」とビジネスネタを、無理やり編集する豪腕こそがヒット記事を生むのである。


 ヒットは、科学できるが
 ヒット記事は、下心がないと書けない。



 ・・・という名言を残して、この「ヒットの科学 九州版」の最終稿を締めさせていただく。ご愛読、ありがとうございました。


※今回で「ヒットの科学 九州版」コーナーはひとまず終了いたします。ひとまず、です。新コーナーにもご期待下さい(qBizチーム・川合秀紀)。






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