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《バー》福岡ライフを“ディープ”にする近道 銀座常連も満足な実力

2016年04月08日 03時00分 更新

記者:南家弘毅


  • 「MOMOTA Bar」のあまおう果肉がたっぷり入ったウオッカベースのオリジナルカクテル(撮影・河野直樹)

  • 店の“懐の深さ”が表れるとされるウイスキー棚。入手困難な国産ウイスキーの銘柄を見つけ大喜びする客も(撮影・河野直樹)

  • バーという落ち着いた空間だと、グラスを空ける間にいろいろな思いが巡る(撮影・河野直樹)

  • バーテンダーとの掛け合いはバー通いの楽しみの一つ=福岡市・天神の「ハーツフィールド」(撮影・河野直樹)

■レベルの高さに定評

 「お待たせいたしました。『あまおう』のカクテルです」

 福岡市・大名地区にある「MOMOTA Bar」。東京から出張で来た男性は、大ぶりのグラスに口を付けると目を丸くした。国内外で人気が殺到している博多あまおうを5、6粒使っているという説明に納得し、ウオッカベースの味にもご満悦の表情。「これが1500円? 銀座なら3000円するな」と漏らした。

 居酒屋で福岡の食を堪能した後、1人になり「2軒目」の当てがない人もいるだろう。ならば、自分好みのバーを開拓してはいかが。

 福岡市内で名前が知られているバーの数は、中洲地区でざっと50軒、大名・天神・今泉地区で約30軒、(中洲と天神に挟まれた)西中洲・春吉地区で20軒、薬院などに10軒ほどという。マンション一室で営まれる店などを含めると150軒以上あるとみられる。

 実は、バー業界で福岡市は「レベルが高い」と評されている。マティーニやジントニックといった定番カクテルがきっちり出せ、ウイスキーの品ぞろえが豊富な店が多いことを意味する。今は、好みの銘柄をずっとおかわりする飲み方は減り、5杯なら5杯とも違うチョイスをする客が多数派に。酒の選択肢の多さが重視される時代だ。

 本場スコットランドと並び世界中で絶賛される日本ウイスキーは、朝の連ドラ「マッサン」で人気に火が付き、さらに中国人富裕層による買い占めに遭って品薄が続く。それでも「余市20年」などレアボトルをさりげなく置く店が、福岡市内に何軒かある。

■距離感も距離も近い

 「MOMOTA Bar」のオーナーバーテンダー百田友則さんは「福岡はバーテンダーとお客さまの距離感が近く、お一人様や一見さんにも細かく気を遣いながら話しかける店が多い。のれんをくぐればお互いの気心が知れる“屋台文化”の影響なのか、オープンな土地柄のせいか」と話す。

 常連客の誕生日を覚えていて「お祝いの1杯」を出したり、ウイスキー工場を見学する店の研修旅行に誘ったりする店もある。

 1990年開店の「ハーツフィールド」(天神地区)でバーボンのグラスを傾けていたサラリーマンのKさん(51)は、オープン以来の常連だ。この店以外にも大名を中心に10数軒の行きつけを持ち、多い時は週に7日、近ごろは週3ペースでバーに寄る。

 「その日、職場でかぶった悪い“気”を抱えたまま家に帰りたくなくてね。好きな酒を飲み、いい音楽に浸り、マスターやなじみ客と話すうちに自分がリセットされる」

 「転勤族なら、バーに来だすと地元に早くなじめるはず。福岡人の気質や福岡の常識が分かるし、『花見スポットの穴場はあそこ』とかネット検索では出てこない情報が聞け、“業界人”たちによる『ここだけの話』が耳に飛び込んだりする。福岡ライフをディープなものにしたいなら、バーはお勧め」

 Kさんがバーをこよなく愛しているのが伝わってくる。

 距離が近いのは客とバーテンダーの間だけではない。職場と自宅が東京に比べはるかに近接しているから、終電、終バスに乗り遅れてもタクシー代が1000〜3000円ほどで済む。安心してバーで酔える大事なポイントだ。

■大名をホットにした3人

 では、どの店を選べばよいか。参考までに大名を中心にした福岡バーの系譜をざっくりたどってみる。

 福岡のバー文化を醸成した中洲。その中心的存在であり、今も全国区の知名度があるのが、七島啓(ななしま・けい)さんが1958年に創業した「ニッカバー七島」。ここで修業したあまたのバーテンダーたちが独立し、中洲を中心に出店、正当派バーの技術や精神を継承している。

 バブル景気前、バーは数えるほどしかなかった大名。「サントリー ジガーバー」(現在閉店)の登場で若者にバー文化が浸透し始め、個性的な店が次々現れた。だが、大名のバーが全国から注目され始めたのは、次の3人の力によるところが大きいとされている。

 1人目は、「BAR 倉吉(くらよし)」を2002年に開いた倉吉浩二さん。ホテルのバー勤務時代、創作カクテルコンペの最年少優勝を決めて頭角を現し、現在、日本ホテルバーメンズ協会の特別顧問を務める。

 2人目は97年に「Bar Oscar」を開いた長友修一さん。昨秋、黄綬褒章を受章したバーテンダー上田和男さんがチーフを務めた店で修業。カクテルコンペの国内大会優勝、世界大会入賞を果たした実力者だ。

 3人目は先に紹介した百田さん。サントリーの店舗(銀座)で5年間修業した後、大名の「CABLE CAR」で店長を務めながら、上田さんと並び日本を代表するバーテンダーの毛利隆雄さんを師と仰ぎ、名店「MORI BAR」(銀座)へ研修生として長年通い、07年に開業した。

 「最高の1杯」を出すために一切妥協しないのは3人共通で、福岡のバーのグレードを引き上げたのは誰もが認めている。

 こうした正統派のオーセンティックバー以外にも、福岡にはユニークなバーがたくさんある。川沿いにたたずむ古民家を使った着物ワインバー、名物ママが率い往年の“闘士”も現れる「安保バー」、屋台なのに白シャツ、蝶ネクタイ姿で迎えられる屋台バーなど。

 「バーの扉を1人で開けるのは緊張するかもしれないが、勇気をもって入ってきてほしい」(百田さん)。

 扉の向こうで人生の軌道が変わることがあったとしても、別におかしくはない。










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