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ピコ太郎「PPAP」の大ヒットに学ぶ“売れ筋”へのヒント(動画付き)

2016年11月16日 03時00分 更新

記者:溜田信氏


  • ピコ太郎(動画投稿サイト「ユーチューブ」から)

  • 溜田 信(ためだ・まこと)グロービス経営大学院 講師
     東京大学工学部応用物理学科卒業後、日本アイ・ビー・エムに入社。銀行オンラインシステム担当のシステムズエンジニア&営業マネージャに。その後、外資系SIベンダー、マイクロソフトでソリューションビジネスの経験を経て、戦略系コンサルティングファームA.T.カーニーに入社。メーカーの事業戦略・SIベンダーの営業戦略・組織改革、金融機関のIT戦略等、IT知識を生かした戦略コンサルティングプロジェクトに従事した経験を持つ。



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 今秋から急にYouTubeで500万回も閲覧されたピコ太郎の「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」は、その関連動画も含めると3億回以上閲覧されるなど、驚異的なブームを起こしている。独特のリズムでダンスをしながら、意味不明の歌を歌っているだけなのに、である。

 そこで今回考えたいのは、「何が、そんなに多くの人の心に触れたのだろうか?」という問いだ。ここに、マーケティングの世界で言う「顧客インサイト」(消費者が購入しようと思うきっかけ)のヒントが秘められている。

 そもそも、人々の関心を呼ぶには、その人の意識に認知されないといけない。

 そのためには、日々刻々と膨大な情報を処理している脳に、何らかの価値を見いだしてもらう必要がある。そうでないと、その情報が意識に上ることすらないはずだ。だとすれば、何が脳にとっての「価値」となったのだろうか。

 ■「謎」の規則性に脳が喜ぶ?

 そこで、私が注目したのは、二つの可能性だ。まずは、「無意味」ながらも、そこに、「ある種の規則性」が含まれている歌詞。

 普通に考えると、「無意味」な情報は、「価値が無い」はずである。

 ところが、今回はそこに「ある種の規則性」が加わったことで、脳が「価値」を認めた(=「脳が喜びを感じた」と解釈)可能性がある。歌詞には、以下のような規則性が含まれている。「パ」行の音である。それぞれ歌詞のワンフレーズに、1〜5個含まれている。こんな具合だ。

 ・「ン」には1個
 ・「アッル」には1個
 ・「イナッル」には2個
 ・「ンナッル」には2個
 ・「イナッル」には3個
 ・「ペンナップル」と「ペンパイナップル」を組み合わせた「イナッルアッン」には5個。

 そもそも「パイナップル」自体は「パイン」と「アップル」がくっついたものである。

 そこで、脳内ではこんなことが起きているのではないだろうか。

 (1)パッと聞いたところでは、歌詞自体に、意味が見いだせない
 (2)一方で、規則性を感じる。よって「謎」だ
 (3)「謎」なら解けた時の喜びが大きい
 (4)よって、意識に知らせて、そこに含まれている意味をさらに解析させよう・・・

 なんて具合に、「脳」が「価値」を見いだしたのかもしれない。

 ■「繰り返し」が「楽しさ」に?

 次に、もう一つの可能性は、幼児期の記憶だ。

 幼い子は、学習の過程で意味もわからず言葉を発する。すると、大人が喜んでくれるので、何度も繰り返すことになる。

 結局、「繰り返す」ということ自体が、「楽しい」という記憶となり、繰り返された音を聞くと「脳」が喜び、意識に上るというメカニズムだ。

 有名なところでは、ディズニー映画の「シンデレラ」にでてくる「ビビディバビデブー」。「ビ」行の音が繰り返されているし、日本でいえば、ちびまる子ちゃんのテーマソング「ぱっぱぱらりら」なんていうのもこの例かもしれない。

 今回の「PPAP」ブームは、「謎ときの喜び」と「繰り返すことの喜び」を脳が「面白い」と感じ、関心を呼んだのではないだろうか。

 すると、「理屈」ではなく、単純に脳が「面白い」と思うことが、人の関心をひきつけるきっかけになる可能性がある。

 これを、マーケティングの世界で言うと、「顧客インサイト」は、「理屈」ではなく、脳が喜ぶかどうかという「感覚」で捉えることが重要ではないか、ということに結びつく。

 仕事に追われる忙しい日常で、論理的な判断に明け暮れるだけでなく、いったん理屈を離れ、「脳を楽しませる」ことに時間を費やすと、新たなビジネスのヒントが生まれるかもしれない。

 「PPAP」ブームは、そんな示唆を私たちに与えている。













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