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【SMAP解散に学ぶ組織論】(中) マネジメントの役割は? 組織の維持は管理者次第

2016年12月14日 03時00分 更新

記者:金子浩明氏




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組織の維持に必要な二つの条件

 前回に続き、バーナードの組織論を元に「SMAP解散」について考えたい。今回は、マネジメントについて。

 バーナードによると、組織の維持には、二つの条件を満たす必要がある。

 一つ目は「共通目的が適切に設定され、かつ十分な達成度があること」
 二つ目は「メンバーの個人的動機を満足させ、共通目的に対する貢献意欲を引き出せていること」

 である。

 バーナードは前者を組織の「有効性(effectiveness)」、後者を「能率(efficiency)」という言葉で表現している。

 個人の意欲の問題を「能率」と表現することに、若干、違和感を覚えかもしれない。しかし、組織論の観点に立てば、「個人の共通目的に対する貢献意欲を、いかに少ないコストで引き出せるか」は、組織の能率につながるのである。

 なぜ、SMAPという組織は存続できない状況に陥ったのだろうか。以前と何が変わってしまったのだろうか。

 まず、「有効性」について確認してみよう。最近のSMAPの共通目的としては、25周年コンサートの実施、レギュラー番組の視聴率獲得、オリンピック・パラリンピックのアンバサダーなどが挙げられる。この目的自体に不適切な印象は受けない。また、達成度についても大きな問題は見当たらない。

 しかし、こうした事実だけで、「有効性に問題がなかった」と言い切れるだろうか。

新たな共通目的の設定に失敗?

 ここで、再びバーナードの言葉を引用しよう。

 「組織は、その目的を達成できない場合には崩壊するに違いないが、またその目的を達成することによって自ら解体する。非常に多くの『うまくいっている組織』が成立し、やがてこの理由のために消滅していく。従って、たいていの継続的組織は、新しい目的を繰り返し採用する必要がある」

 多くのアイドルグループや音楽グループは、当初の共通目的を達成した後に衰退し、その結果、解散に至ることが多い。

 しかし、SMAPはデビュー25年を経た今でも芸能界の第一線で活躍し続けている。それは、繰り返し新たな目的を設定してきたからだろう。ただこれは、過去から現在までの話である。メンバーの平均年齢が40歳を超える中年男性の集団になったことで、アイドルグループとして新たな共通目的の設定に失敗した可能性がある。

 もう一つ、「能率」。つまりメンバーの協働意欲の側面はどうだったか。

 ここで再びバーナードの言葉を引用しよう。「協働の能率はしばしば、具体的目的を達成する過程に付随する満足や不満足に依存する」

 報道によると、一部のメンバーがSMAPの解散を強く希望したとされる。

 それは、これらメンバーによる組織(SMAP)に対する協働意欲が低下したことを示している。

 グループ活動を通じて自分を犠牲にする程度と、そこから得られるインセンティブのバランスが崩れたということである(ここではギャラの話ではなく、むしろ仕事を通じて得られる心理的な満足度のこと)。

 SMAPは「有効性」の面では潜在的な課題を抱え、「能率(メンバーの貢献意欲)」の面ではシステムの不均衡が顕在化してしまったと考えられる。

 では、こうした状況は防げなかったのだろうか。

金子浩明(かねこ・ひろあき)グロービス経営大学院 シニア・ファカルティ・ディレクター、教員<br />
 東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科 修士課程修了。コンサルティング会社で組織風土改革、人事制度の構築、官公庁関連のプロジェクトなどを担当。グロービス入社後は、コーポレート・エデュケーション部門のディレクターとして組織開発のコンサルティングに従事。現在はグロービス経営大学院 シニア・ファカルティー・ディレクターとして、企業研究、教材開発、教員育成などを行う。企業への新規事業立案・新製品開発のアドバイザーとしても活動する。2015年度から、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)プログラムマネージャー(PM)育成・活躍推進プログラムのメンター









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