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【SMAP解散に学ぶ組織論】(中) マネジメントの役割は? 組織の維持は管理者次第

2016年12月14日 03時00分 更新

記者:金子浩明氏


  • 金子浩明(かねこ・ひろあき)グロービス経営大学院 シニア・ファカルティ・ディレクター、教員
     東京理科大学大学院 総合科学技術経営研究科 修士課程修了。コンサルティング会社で組織風土改革、人事制度の構築、官公庁関連のプロジェクトなどを担当。グロービス入社後は、コーポレート・エデュケーション部門のディレクターとして組織開発のコンサルティングに従事。現在はグロービス経営大学院 シニア・ファカルティー・ディレクターとして、企業研究、教材開発、教員育成などを行う。企業への新規事業立案・新製品開発のアドバイザーとしても活動する。2015年度から、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)プログラムマネージャー(PM)育成・活躍推進プログラムのメンター



管理者は頭脳や神経系統のよう

 多くの記事によると、SMAP解散は、デビュー以来、SMAPを担当し、グループを育ててきたマネジャーI氏の退社がきっかけになったという。

 これが事実だとすれば、SMAPを存続させる上で、組織の管理者であったI氏は重要な役割を担っていた可能性が大きい。

 バーナードによると、管理の機能とは、組織を維持・存続させることであり、それは「身体の他の部分に対する、頭脳を含めた神経系統のようなもの」だという。I氏が退社した後のSMAPは、まるで神経が十分に機能しない身体のようになってしまったのだろうか。

 では、I氏の替わりになる人材はいなかったのだろうか。

 バーナードは管理者に必要な要件として「組織に対する忠誠心」と「個人的能力」の二つを挙げている。

 ここで言う後者の個人的能力は「一般的な能力(機敏さ、広い関心、融通性、適応能力、平静、勇気など天性に依存する面が大きい)」と「専門能力(特殊技能など)」に分けられる。

 そして、職位が上がるほど高い「一般的な能力」が求められるという。しかし、こうした能力を持った人材は限られる。それが「組織の制約になる」と指摘している。

 SMAPはI氏の退社後に後任のチーフマネジャーを配置している。大物タレントのマネジャーだから、相応の人物を配置したに違いない。しかし、専門能力はI氏と同程度に有していたとしても、忠誠心=SMAP愛(ジャニーズ愛ではなく)や、一般的な能力の面で、I氏に替わりにはなれなかった可能性がある。

 では、I氏は管理者としてどのような役割を担ってきたのだろうか。バーナードはこう示している。

 第一に「コミュニケーションシステムを提供」
 第二に「不可欠な努力の確保を促進」
 第三に「目的を定式化し、規定すること」

 これは前回の組織成立の3要件(コミュニケーション、貢献意欲、共通目的)に対応している。

遅かれ早かれ“寿命”を迎えた?

 マスコミなどの記事によると、I氏はメンバーにとって「母親代わりになってメンバーを守ってきた」とされる。もし、そうだとすれば、I氏の主な貢献は、管理者としての第二の役割「不可欠な努力の確保の促進(貢献意欲を高める)」に当てはまりそうだ。

 とはいえ、メンバーの高い貢献意欲だけで25年もアイドルグループを維持することは難しいだろう。なぜなら、人気商売ゆえに飽きられるのも早いからである。

 ここで私が注目したいのは、管理者の第三の役割「「目的を定式化し、規定すること」である。

 25年間、SMAPは常に新鮮であり続けた。それは、常に新たな目的を設定してきたことが大きい。そして、その中心はI氏だったと指摘されている。

 例えば、ジャニーズの男性アイドルがドラマで脇役や、三枚目の役を演じるようになったのはSMAPからである。また、I氏は正統派シンガー・ソングライターである山崎まさよし、スガシカオ、林田健司などに楽曲を依頼して、既存のアイドルソングとは異なる本格路線を歩んだ。

 グループの冠番組ではコントや料理なども披露し、アイドルグループにもかかわらず、ザ・ドリフターズ(もともとは音楽バンド、70年代から80年代に活躍したコメディアン)の後継とも言われるほどになっていた。

 SMAPに新たな共通目的を設定できるのは、I氏だけだったのかもしれない。そうだとしたら、I氏退任後のSMAPは遅かれ早かれ組織として寿命を迎えただろう。

 組織の存続にとって、管理者の存在は非常に重要なのである。(次回は21日掲載予定)














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