ようこそ ゲスト様

qBiz 西日本新聞経済電子版

女性に必要なグッズを集めた避難用バッグの狙いは? 開発担当者に聞く

2016年11月13日 03時00分 更新

記者:萱島佐和子


  • 「ウーマンズ エマージェンシー バッグ」を開発した小幡嘉代さん

  • バッグの中身。女性のために必要なグッズがそろっている

 女性が災害時の避難生活を送る際に必要なグッズを集めた「ウーマンズ エマージェンシー バッグ」を開発し、12月1日から販売に乗り出す福岡県久留米市安武町の「アビックス」。実際の被災者の声や女性ならではの視点を生かしながら開発を手掛けた、同社企画開発部長の小幡嘉代さん(46)に話を聞いた。

 −開発のきっかけは。

 「アビックス入社前、久留米でホテルの支配人だった時に東日本大震災が起きた。東北で被災した同僚から話を聞いて災害への危機感は感じたものの、心の中では『地元は安全』と思っていた。しかし、熊本地震からも分かるように、間違った安全意識は危険だと思うようになり、自分や大切な人がどうすれば安全か、避難時に女性ならではの悩みにどう対処したらいいのか考えるようになった」

 −どんな商品か。

 「オリジナル商品も含め、女性の避難生活に必要な物に特化した。例えば、生理用ショーツは洗濯や漂白ができなくても汚れが目立たない黒色に。前後には布をはさみ込めるようなポケットも付けている。東日本大震災の体験談から、生理用品が無い時にタオルやカーテンなどを切って使えるようにした。腹巻きは、直接肌に触れてもチクチクしないようにシルクを入れた。小さな子どもから妊婦まで対応できるように伸縮性は抜群。髪をまとめるターバンにも応用できる」

 「アロマスプレーはヨーロッパでは医療用としても認知されており、被災地の取材経験のあるアロマセラピストから意見を聞いて作った。ストレスや衛生状態が原因で、災害から2〜3週間で感染症が増加する。感染症対策として抗菌効果に加え、リラックス効果も期待できるラベンダー、ティーツリー、サンダルウッドをブレンドした。このほか緊急用の笛や携帯トイレもあり、計12点入っている」

 −開発する上で工夫した点は。

 「女性向けには赤やピンクの色の物が多いが、避難生活では女性と分かりやすいと性被害などの新たな危険もあると聞き、全体的に黒っぽい色にした。またスカートやパジャマで避難しても安心なようにズボンも入れた。バッグ自体も軽く、水をはじくようにした。中はわざと隙間を残すことで通帳やおくすり手帳、常備薬など必要な物を足せるよう配慮している」

 −アビックスは家具製作や内装工事を手掛ける会社なのに、なぜ防災グッズなのか。

 「昨年3月、防災設備会社をグループ化し、防災について私の思いを形にしたいと考え開発をスタートさせた。バッグ以外にも、下に潜り込めば安全なテーブルなどの耐震家具、家の一つの部屋を頑丈な、万が一の時の『シェルター』化する技術などを研究している」

 −防災について久留米から発信するのはなぜか。

 「久留米は熊本地震で大きな揺れを経験したが、これまで大きな震災に遭ったこともなく、安全だと思われてきた。でも、そういう地域も危険なんだと意識してほしいし、安全と思われてきた久留米から防災について発信していくことは意味があると考えている」

 「久留米には災害時にお湯だけで食べられる非常食などを手掛ける『CTC−LANKA』などの企業もある。今回、アロマを入れる缶はこの会社の物を採用している。地元企業や病院、行政、学校などと協力して久留米を防災の街にしたい」

 −今後の目標は。

 「開発したバッグは、買って備えてもらうだけが目的ではない。講習会などを開いて知識も広めながら、防災意識を高めるような環境をつくっていきたい。災害時に避難所となるのは地域の公民館や学校であることから、行政や教育機関の協力を得て、将来的には施設ごとに備蓄してもらえるようにしたい。さらに高齢者用なども作りたいと考えている」

    ◇    ◇

 「ウーマンズ エマージェンシー バッグ」は1万2960円(税込み)、20個以上なら1万800円(同)。使用方法などを紹介する特設ホームページもある。アビックス=0942(27)2733。










特集 qインタビューの最新記事



そもそもqbizとは?

Recommend

ランキング

Recommend

特集 最新記事

コラム 最新記事